巨人のドラフト1位、菅野智之投手(23=東海大)が6日、神奈川・平塚市の同大グラウンドで練習を公開した。念願かなって巨人入りした右腕は、ブルペンでいきなり「投げ初め」。変化球を織り交ぜた本格的な35球だった。普通の新人なら明らかなハイペースは、浪人時代を無駄にしない決意の表れだった。抑えきれない投手の本能をむき出しに、レッドゾーンに入れたまま巨人の門をたたく。

 慣れ親しんだ東海大学土屋野球場の黒土ブルペンに、ためらいなく菅野が入った。名コンビだったオリックス3位、伏見寅威の腰がみるみる沈んでいった。引き継いだ背番号19の大先輩、上原浩治(レッドソックス)と変わらぬ好テンポ。少し肘が低いとみるやカーブを交ぜて修正した。スライダーに「試している」ワンシームまでまぶした。「五分の力」の自己評価とは裏腹の、総合的な35球だった。

 「初投げ」という言葉は、この新人にふさわしくないのかも知れない。「新しい年が来た感じがしない」が第一声で「僕の2012年度は、まだ終わっていない。『戦い』という部分がなかった。引き続いて、という形」と言い、続けた。

 菅野

 他の選手と少し違った形での入団です。ペースを落とさないと決めて、1年間、やってきました。周囲は「早い、焦っている」と思うでしょうが、自分は、いつでもいける準備をしなくてはいけない。

 カレンダーは変わったが取り組みは何も変わらない。「今日は軽い方。追い込んだり、落としたりしながら」日々を過ごしてきた。

 練習の端々に、たゆまぬ鍛錬がにじみ出た。あっという間に70メートルまで伸びたキャッチボールの軌道は、鉄砲肩をさび付かせず磨いていた証拠だった。「2月1日と言わず、1月中にブルペンに入れれば」と闘争本能を隠しきれない。打者に対しても、チーム内の競争も。待ち焦がれた「戦い」の輪に思いっきり加わるだけだ。

 職業観を問われると23歳らしかった。「プロ野球というより、巨人に入った。大好きな野球で仕事ができる幸せ、感謝を忘れたくない」と、直立不動でしみじみ言った。「東海大があってこそ、今の自分がある。つらいことも楽しいことも。このグラウンドで育った。寂しい気もする。恩返しできれば」と5年間に感謝し「誇りを持っていく。前を向くしかない」と感傷はやめた。超ハイペース始動は、決断が正しかったと証明する決意表明。8日入寮、10日新人合同自主トレ。巨人菅野は一気に駆ける。【宮下敬至】