プロ30年目の中日山本昌投手(47)が、世界のイチローも驚く速球王に変身だ。鳥取市のトレーニング研究施設ワールドウィングで13日、自主トレを公開。同施設が数億円かけて開発したトレーニング器具を使い、130キロ台後半の球速が145キロにアップしていた。これにはヤンキース・イチロー外野手(39)もびっくり。史上最高齢開幕投手に色気も見せた大ベテランは、老いて元気だ。

 山本昌が大変身を遂げていた。130キロ台後半の真っすぐが何と常時140キロ台!?

 昨秋の計測時には最速145キロ超をたたき出したという。現役最年長の47歳に、そんなことができるのか。引退危機を吹き飛ばすアンチエイジング。うわさは世界のイチローにも伝わり「昌さん、すごいボールを投げてるらしいですね」と仰天だったという。鳥取で自主トレを公開した本人はもちろん、したり顔だ。

 山本昌

 例年以上に順調です。僕専用のマシンをつくってくれたので、僕の体も進化しているんですよ。

 鳥取ワールドウィングの小山裕史代表(56)が、十年来師事する山本昌のために、数億円をかけて4種のトレーニング機器を開発。昨秋から本格使用したところ投球の回転数が上がり、球速も5キロ以上アップした。実は同じ機器を使うイチローも「僕の球も速くなってます。楽しい!」と効果を体感。昨年12月に神戸で会った小山代表に、山本昌の大変身を確認するほど目を輝かせていたという。

 球速アップのスパイスは新フォームにもある。左腕が横振り気味だったものを今オフ、「しっかりたたくイメージ」で縦振りに戻した。年間ローテを守り、2桁勝利を挙げていた08年バージョンへの原点回帰だ。力強い新フォーム+力強い新トレーニングの相乗効果は抜群。「僕の体も進化している」と実感を口にした。

 山本昌

 フォームも自然な感じで自分でも楽しみ。キャッチボールもよく指にかかっていて、好調のバロメーターのマメも硬く大きくなっている。開幕ローテへピッチを上げていきます。

 近日中にブルペンに入る好調仕上げで、キャンプの目標は1200球。右肘不安の吉見に代わる開幕投手にも色気を見せた。

 山本昌

 吉見がやるべきだし、やらなきゃいけない。間に合うだろうし、やってもらわなきゃ困る。でもダメな時はみんなでカバーする。(開幕と)言われりゃ頑張るし、準備はします。

 本命の吉見に気を使いながらも有事に備える心構え。プロ30年目の球春が待ち遠しい。【松井清員】

 ◆昌仕様マシン

 一昨年骨折した右足首のスムーズな動きを可能にする「ドライブ式レッグプレス」や、骨盤や股関節を強化する「サイドスイング」が昨秋から特注で導入された。肩甲骨や鎖骨の連動をスムーズにさせる橈屈(とうくつ)マシンや、足首を柔軟にする「バックスイング」も使用。小山代表は「足首や肩の負担が減って動きやすくなっている。球の回転数がどんどん上がっている」とさらなるスピードアップも予想。自身が提唱する初動負荷理論の具現化として期待を込めていた。