WBC日本代表候補の中日山井大介投手(34)が14日、プロゴルファー青木功(70)から世界で勝つための金言を授かった。鳥取市のトレーニング研究施設ワールドウィングで自主トレを公開。同所で鍛錬中の世界のAOKIと初対面し、国際大会必勝の心構えを説いてもらった。感激の山井は3連覇を約束。幻じゃない大活躍で「世界の山井ちゃん」になるぞ!

 「世界-」でつながった。青木との遭遇に山井が目を輝かせた。「こんな機会はない。お話を伺えたら」。トレーニングの合間にあいさつに出向くと、野球好きの青木も笑顔で右手を差し出した。「サングラスの投手だね。WBC行くんでしょ?」。鳥取自主トレで初対面。すると世界のAOKIから世界で勝つための金言が伝授された。

 青木

 何千、何万の野球選手から選ばれて行くんだ。世界が相手でもプレッシャーを感じる必要はない。自信を持ってコノヤロー、俺が一番うまいんだと思ってやればいい。大事なのは日本でやってる時と同じ平常心。気持ちの持ち方次第でいい結果が出るよ。

 国内外通算80勝以上を誇る青木でさえ、海外デビュー当時は「うちのめされた」という。余りにも違う海外ツアーの雰囲気や外国選手のオーラ。雰囲気にのまれ、自分以上のものを出そうと力んで敗れた。ある時「俺が一番!」と開き直って以来、「自分のゴルフができるようになった」。初めて日の丸を背負う山井は恐らくガチガチになると予想。だがウヌボレこそ、国際大会で勝者になる一番の近道と説いた。

 青木

 山井君は中継ぎが有力なんでしょ。頑張ったなあって目立つのは頭(先発)と後ろ(抑え)だけ。一番きついところで行く役割なんだから余計に好きなようにやればいいんだ。

 自分のために語ってくれた青木の金言の数々に、山井も大感激だった。「オーラもあって、勉強になることだらけです」。準決勝、決勝の舞台となるサンフランシスコの球場は海辺にあり「山風より潮風の方が真に冷たくなる」と、指先の感覚に注意喚起も受けた。そして70歳の青木が今年も世界での勝利を目指して黙々とトレーニングを積む姿に感銘。「あれだけの方でもすごいトレーニングをされている。僕も勝たないといけない」。恩返しは侍の3連覇を導く快投だ。

 WBC球を使い、鳥取のブルペンで13年初投げ。捕手を立たせ、威力ある真っすぐを30球投げ込んだ。「ボールへの違和感はないですね」。例年より半月早い好仕上げ。初実戦は2月11日の練習試合サムスン戦(北谷)に照準を定めた。世界のAOKIに学んだ極意を胸に、新名古屋名物の「世界の山井ちゃん」を目指す。【松井清員】

 ◆世界の青木

 青木功は1978年(昭53)の世界マッチプレー選手権で初優勝し、世界の青木と呼ばれるようになった。80年の全米オープンで準優勝、同年の全英オープンでは初日に最少スコア記録「63」をマーク。83年ハワイアンオープンでは最終日最終ホールでチップインイーグルを決め逆転で日本人初の米PGAツアー優勝を果たす。日本ツアーでは歴代2位の51勝を挙げ尾崎将司、中嶋常幸と「AON」時代を形成した。