ゼロから16年目を築き上げる。巨人高橋由伸外野手(37)が15日、沖縄・那覇市内で行っている自主トレを公開した。昨季は規定打席に4打席届かなかったが、勝負強い打撃で日本一に大きく貢献した。それでも口をついて出るのは、レギュラー確保への危機感と競争意識だった。天才打者が泥くさく定位置を奪いにいく。

 相も変わらぬロングティーの美しさが、高橋由の順調さを物語っていた。「キャンプでサビを落とすための土台つくり」と位置付ける沖縄自主トレ。1本足を決め、マスコットバットを体に絡み付かせ振った。100メートル先の球拾い役を動かさず、打球を集めた。「狙ってないよ。大体あの辺、って感覚は当たるもの」と素っ気ないが、動作を完全再現する技術に阪神伊藤隼は固まった。力んで振ればスタンドへ。200スイングで16年目を滑り出した。

 順調さとは裏腹の思いを抱いている。飾らない抱負には、屈指の好打者らしからぬ危機感があった。

 高橋由

 自分は、どこで、どう出られるか分からない。仲間と勝負をしないといけない。まずはゼロから。試合に出る場所をつかまないといけない。

 実績十分の主力がこんなことを言うのが、今の巨人の戦力層。130試合に出場したから復活したと思えない。「いつでもゲームに出るコンディションを作る。数字はその先」とガムシャラに定位置を得る。キャンプでは注目ルーキー菅野との対戦もある。「大変だろうね。宿命だから」とドラフト1位の騒々しさに配慮し「すごい球だろうね。楽しみだね」と心待ちにしている。

 松井秀喜氏が現役を退いた。「そりゃ、引き際も考える。いつもだよ。でも自分はやる。やれる環境と機会をいただける限りは、やる」。断固たる決意を秘めるからこそ、ゼロからレギュラーを確保する。【宮下敬至】