3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表の山本浩二監督(66)が26日、「アーチスト枠」を採用する構想を明かした。筆頭候補に指名されたのは球界屈指の右長距離砲、日本ハム中田翔外野手(23)。代表入りは当落線上の立場だが、活路を探るため、一塁を含めた複数ポジションの適性をチェックする方針だ。長打を期待できる才能は魅力十分。代表候補野手の中でも異質の特長を最大限引き出し、戦力アップを目指す。
侍ジャパンが掲げるつなぎの野球に、隠し味を加える。山本監督が大会3連覇のカギにしてきたのが、機動力重視の緻密な戦略。現役時代に536本塁打を放った指揮官だけに、一気に形勢逆転できる1発の魅力は捨てずチーム編成に臨む。この日、都内ホテルで開かれた「オール法政
新年を祝う会」に出席。温めていたプランを明かした。指名したキーマンは中田だった。
山本監督
このメンバーを見ても長打力、ここ1発というのは魅力がある。
今回代表候補の野手陣の中で経験と実績的にみて、中田は当落線上の1人だった。2月15日からの宮崎合宿で捕手を除く野手3人が最終メンバー漏れする。選手としての熟成度から判断すれば、中田は厳しい立場だった。山本監督は若き才能を発揮できる手段を模索。合宿中の「3段活用」でのテストだった。
日本ハムでは中田は主に外野手だが、試合状況によって一塁守備に就く点に着目している。山本監督は「ファーストもできる」と適応力を把握し、左翼と兼任できるかどうかを判断していく方針。一塁は日本ハム稲葉、ソフトバンク内川らのレギュラー級に、三塁が専門の巨人村田と候補ひしめくが、中田もその1人。指名打者のリストに「あのやんちゃ坊主な」と、入っていると明言した。「ひとつやってやろうという気持ちになったので、それをぶつけたい」。そうモチベーション十分の中田にも、発奮材料になる。
若さあふれる代表候補NO・1のパワー、昨季24本塁打と成長途上の技量。局面を一振りで変えられるのが長打、本塁打だけに期待は大きい。日本代表は06年の第1回大会は計10本塁打、09年の第2回は計4本塁打にとどまった。ロースコアの試合が多い中で制した前回大会はモデルになるが、大砲がいれば野球の幅は広がる。山本監督は「その時の状況による」と柔軟に戦闘態勢を練る。中田のオンリーワンの価値も、計算に入っている。【高山通史】<浩二監督と中田>
◆ボール球振るな
昨年11月28日に都内で行われた表彰式で対面。「本当に思い切ったスイングをするんだけど、なかなかボールに当たらないんだよな」と苦笑い。「初球から何でも振りにいっている。『1球勝負』と思わないといけない。ボール球は振らないように」と選球眼の重要性を説いた。
◆4番打つ力ない
同12月18日、ハワイから帰国すると「今の中田に日本の4番を打つ力はない。自分の力ではい上がってこい、と言いたい」と成長を求めた。「中田はトップの位置がバラバラ」と指摘し、「(レギュラーは)与えられるものではなく、奪うもの。3割打つ力は十分に持ってるんやから」と期待。
◆茶髪禁止令
今年1月9日、自主トレ公開日に黄金色に染めた丸刈りで現れた中田に言及。「代表選手らしい服装や髪の毛、態度というものがある。それはプロ野球選手である前に社会人として大切」とドレスコードを徹底する方針を打ち出す。「(2月の代表合宿に)ああいう格好でやって来たら一喝せなあかん」と目を光らせた。
◆栗山監督直訴
同1月18日、都内の表彰式に出席した日本ハム栗山監督があいさつで「中田翔を、ぜひ使っていただきたい」と会場に来ていた山本監督に代表入りを直訴。「言っちゃいけなかったかもしれないけど、(山本)浩二さんの顔を見た瞬間、つい言葉が出てしまった」と苦笑い。




