初日から愛のむち!?

 プロ野球各球団がキャンプインした1日、ソフトバンクのドラフト1位東浜巨投手(22=亜大)は「走れ指令」を受けた。ブルペンで56球を投じた即戦力右腕に、高山投手コーチが下半身の不安定さを指摘。投げたければまず走れ、とばかりに、大器が輝くようにキャンプ序盤は土台づくりを優先することになりそうだ。

 注目のキャンプ初日ブルペンで、東浜が即戦力右腕の片りんを見せた。大勢の報道陣、カメラ、秋山監督や王会長の視線も注がれ「体が思ったより緊張した」。それでも頭脳派のハイレベルな調整投球だ。

 「7割ぐらいの状態で」と全力投球ではなかったが、すべて大きく振りかぶり、回転のいい直球を56球。右打者の内角低めに何度も投げ込み、高山投手コーチは「低めの球がたれてこない。さすが」とうなった。

 最後の6球は外角に構えていた捕手高谷をさらに外側に寄せ、ボールゾーンに投げた。東浜は「ホームベースの前の角をかすめる意識。きわどい、バッターが追うようなコース。ボール半個分の出し入れ」と、1球1球に意識を持っていた。秋山監督は「キレとかいいものは持っているから(ブルペンで)自分でどう考えているかだよ」と姿勢も含めて評価した。

 それでも、プロの目は厳しかった。雨で室内練習となったキャンプ初日。短い距離のノックを打った高山コーチはゴロを捕球する姿で下半身が未完成なのを見抜いた。「根本的に体が強くない。土台から。体幹や下半身をつくる。投げ込みは投げさせられる状態になってから」。キャンプ前半は投球より体づくりを優先させるよう命じた。

 東浜は連日のブルペン投球で仕上げるつもりだった。高山コーチも「肩、肘が消耗するとは思えない投げ方。体全体で投げられる。投げて(形を)つくってきたんじゃないか」と、これまでの調整法には理解を示す。それでも「1年間投げられる力を身につけないと」とし、投げ込みを後回しにする考えだ。

 新人合同自主トレ中は禁止されていたコーチの直接指導が解禁。愛のむちともとれる投球へのブレーキは、高山コーチの親心だった。東浜も「下半身がブルペンでも不安定でした。走り込みなど(が足りない)、そこは自覚しています」と認める。新人王のための確かな第1歩。このキャンプはひたすら走り抜くことだ。【石橋隆雄】