スピードスターが叫んだ!

 跳んだ!

 打った!

 阪神に新加入した西岡剛内野手(28=ツインズ)が1日、ハッスルデビューを飾った。ウオーミングアップのランニングで先頭に立って声を出すと、二塁でのシートノックではダイビングキャッチを試みた。フリー打撃でも安打性の打球を連発。他球団の007が早くも要警戒マークをつけるなど、初日から目立ちまくった。

 真新しいタテジマのユニホームに身を包んでから、わずか1時間あまりだ。西岡がチームメートのハートをギュッとわしづかみにした。シートノックのゴロは一、二塁間へ。二塁の定位置から素早く動き、最後は芝生の上をダイビングしながら捕りに行った。新井良から「そういうのを見たかったよ!」と突っ込まれると満面の笑み。元メジャーリーガーが「阪神西岡」になった瞬間だった。

 西岡

 久慈さんが、ああいう打球を打ってきて「最初に飛び込め」というメッセージなのかと思って期待に応えておきました。新井さんは年齢も1つ上。ヤジられたから、ヤジり返しました。スムーズに自然にチームに溶け込めた。でも、ああいういじられる存在にはなりたくない(笑い)。

 わずか1日で身も心も虎色に染まった。ウオーミングアップの全体ランニングでは遊撃鳥谷とともに隊列の先頭に立ち、掛け声も出す。積極的に意思疎通を図り、ナインを引っ張ろうとする姿勢を見せた。

 西岡

 鳥谷さんがキャプテンなので。お互い、二遊間を組む間柄。鳥谷さんについて行くというか、鳥谷さんが先頭に立って、その補助じゃないけど、役に立ちたい。若手ではないし、(チームを)引っ張っていけるようにしたい。

 とにかくアグレッシブに動く。この日は全体練習が始まる1時間以上も前からトレーニング室にこもって汗を流した。「09年から始めている。アメリカでは当たり前。自分のリズムでやりたい」と自覚たっぷり。自らにアーリーワークを課し、シーズンに向けて本格的な土台作りを始めた。フリー打撃では両打ちで108スイング。打ち損じは少なく、卓越したミート力も見せつけた。西岡の精力的な動きを警戒するのは広島のスコアラー陣だった。

 奥スコアラー

 動きが悪ければ、ダイビングをしない。西岡君が動けば阪神は厄介なチーム。完全な状態で戻れば、脅威でしょう。

 井生スコアラー

 骨折していた左足も問題ないようです。ダイビングしたし、足も気にしていなかった。

 初日を終えた背番号7は「ユニホームを着ると、また違った力が出て違うところが張る。気持ちいい疲れです」と充実した表情。周囲に強烈な印象を与えた。新天地で誓った甲子園での大暴れ。野望に向け、順風満帆なスタートを切った。【酒井俊作】