ソフトバンク秋山幸二監督(50)が鬼ノッカーと化した。18日の宮崎キャンプは雨のため室内練習。指揮官は朝から「今日は川原を特守だ。フィールディングの練習だよ」とやる気満々で、バットを握って4年目左腕を指名した。2人1組で行うペッパーのような短い距離でゴロを転がし、川原弘之投手(21)の返球をひたすら打ち返すこと1時間。めったにノックしない指揮官にとっては異例の行動だった。

 川原は昨年2軍戦で自己最速158キロを計測するほど豪腕の持ち主。1軍経験は2試合ながらA組(1軍)に呼ばれ、この日も指揮官が直接指導にあたったのは期待の裏返しだ。「500球くらいかな。野手のようにつま先に重心を置くように言ったよ」。バントやゴロ処理に課題があるのは、かかとに重心を置きがちだと見抜き、右へ左へ、愛のムチで揺さぶった。

 全身から汗を噴き出した川原は「苦手でしたが、最後の方はだいぶ足を運べるようになりましたね」と感謝しきり。秋山監督は「ノックは下手だからやらない」主義に加え、今年1月中旬に福岡市内の自宅で雪かきした際に左前腕を痛めたばかり。練習中にトレーナーのマッサージとはり治療を受け続ける状態で放った500球にメッセージを込めた。【押谷謙爾】