<オープン戦:オリックス1-4ヤクルト>◇6日◇京セラドーム大阪

 ヤクルトのノーラン・ライアンこと、ドラフト2位小川泰弘投手(22=創価大)が、開幕ローテーション入りを手繰り寄せた。オリックス戦でプロ初先発。3回2死二、三塁では「逃げたら打たれる」と内角をえぐり、143キロ直球でT-岡田を三邪飛に仕留めた。「どこに投げたらいいかとか、考えながら投げられた」と、堂々の5回2安打無失点だった。

 左足を高く上げるライアン風のフォームは豪快だが、頭は常に冷静だ。姉3人に兄1人の、5人兄弟の末っ子。甘えん坊に育ってもおかしくないが、ライアンは違う。「決して裕福じゃないのに好きな野球をやらせてもらって大学まで行かせてもらった」。グラブには「親孝行」と刻む。少しでも早く活躍することが家族への恩返しになると分かっている。

 だからこそ、マウンドで弱みは見せない。プロ入り初のドーム球場で捕手の指が見づらかったこともあり、初回はサインミスが目立った。だが、表情には出さなかった。捕手中村が察して対処した2回まで、淡々と投げ続けた。1秒3台で課題だったクイックも、4回の二盗阻止時には1秒21に短縮。「足を上げずに体重移動を速くする」と、コツコツ練習してきた成果を出した。中村は「新人離れしている」とうなった。

 これで対外試合は3試合計9回無失点。小川監督は「最終決定ではない」と前置きしつつ「今のままなら入るんじゃないですか。可能性はある」と、開幕ローテ入りをほのめかした。次回も先発登板が決まったが、「やるべきことをやるだけ」と浮かれたところはなかった。【浜本卓也】<小川泰弘アラカルト>

 ◆生年月日と球歴

 1990年(平2)5月16日、愛知県生まれ。成章高から創価大を経て、12年ドラフト2位でヤクルト入団。右投げ右打ち。

 ◆サイズ

 171センチ、79キロ。血液型A。

 ◆ニックネーム

 大リーグの奪三振王ノーラン・ライアンのフォームを参考にしていることから「ライアン」。大学3年夏に同氏の著書を読み「自分も体を大きく使い、球の出どころを見えにくくしたい」とお手本にしている。

 ◆ぬいぐるみ

 友人の寄せ書きが書かれたスヌーピーを持って入寮。

 ◆球種

 直球は最速148キロ。スライダー、カーブ、チェンジアップ、フォーク、シュート、カットボールと多彩。