<オープン戦:広島5-4ソフトバンク>◇24日◇マツダスタジアム

 WBCベストナインの広島前田健太投手(24)が24日、貫禄の投球でシーズン前最終登板を締めた。ソフトバンク戦で、帰国後初登板。3回を3安打無失点に抑え、最速149キロをマーク。「自分の中では仕上がっている」と、準備OKを強調した。開幕3戦目の31日巨人戦(東京ドーム)が濃厚。WBCの悔しさをシーズンにぶつける。

 マツダスタジアムが、前田健の凱旋(がいせん)登板に沸いた。スタメン発表で名前がコールされると、ねぎらいの拍手と、歓声が鳴り響いた。WBCベストナインを手土産に帰ってきたエースは、その勲章にふさわしい投球を披露した。

 1回1死から今宮に中前打を許すも、素早いけん制で刺し、流れを渡さない。2回無死一、二塁のピンチでは、自らバントを処理し二塁走者を三塁で封殺。続くオープン戦本塁打王の柳田は、チェンジアップで狙い通りに二併殺に仕留めた。懸念されたボールの違いの影響も見せず、WBCでは制球に苦しむこともあったツーシームも思い通りに操った。3回3安打無失点という数字以上に、あらためて格の違いが際立った。

 「自分の中では仕上がっているし、いつものオープン戦とは違う。気持ちもつくっているし、うまく開幕を迎えるだけです」

 自信はある。WBCで登板した3試合すべてで、5イニングを投げた。例年はオープン戦最終戦で投げる程度。この日のイニング設定は前田健に委ねられ、登板前は「感じが悪ければ長くする」と話していた。3イニングで降板したのは、好調の証しだ。

 余裕もある。4年連続の開幕投手は回避したが、いたずらに「かく乱作戦」を発動。「もう開幕までは投げないですよ。中4日?

 3イニングだったら行けるでしょ」と笑みを浮かべ、自らが開幕投手であるかのようにふるまった。実際にはバリントンが初の大役を務め、前田健は中6日で開幕3戦目の31日巨人戦での登板が濃厚だ。

 当面の目標だったWBCを終えて、広島のエースとして再び今季の目標に力を込めた。「早く優勝したい」。日本代表として3連覇を逃したことで、余計に勝ちに飢えている。満たされない思いは、充実のシーズンで埋めていく。【鎌田真一郎】