投手と打者の「二刀流」を目指すスーパールーキーに、さっそく試練だ。日本ハムのドラフト1位、大谷翔平投手(18=花巻東)が27日、登板予定だったイースタン・リーグ西武戦(鎌ケ谷)の中止で、今日28日にスライド登板することが決まった。投手の調整を優先した結果、西武ドームで行われる1軍開幕戦の前日練習を欠席せざるを得ないという、異例の事態に陥った。確実視されていた右翼手での開幕スタメンも再検討されることになった。

 曇天から降り注ぐ雨が、スーパールーキーの船出に水を差した。開幕1軍切符をつかんだ大谷が“二刀流”の難しさに直面した。実戦3度目の登板となるはずだったイースタン・リーグ西武戦が中止。視察に訪れていた栗山英樹監督(51)と2軍首脳陣が協議して、投手としての調整を最優先することを再確認。今日28日のイースタン・リーグ西武戦にスライド登板することが決まった。

 あおりを受けたのが「打者・大谷」だ。確実視されていた開幕スタメンが、再検討されることになったからだ。開幕メンバーは28日に西武ドームで前日練習を行うが、試合と重なるために参加できない。「難しさはあるけど、その中でやっていくしかない。不安もないし、あとは自分の力が足りるか足りないか」と逆に闘志を燃やした。栗山監督は「体の状態を見てからになるけど、前日に西武ドームにいないというのは、どうなのか。俺自身は構わないが、状況を見て決めたい」と、開幕戦のベンチスタートもにおわせた。

 打者としては柔軟な打撃と適応力で1軍レベルと判断されたが、投手としては先発として2軍戦で経験を積ませていく。高いレベルでの“二刀流”を目指すからこそ、どちらかの成長を妨げては意味がない。栗山監督は「ここで投げておかないと、次回登板まで2~3週間も空いてしまう。今までやってきたことの意味がなくなってしまう」と、スライド登板の判断に至った経緯を説明した。

 厄介なのは「投手・大谷」が雨男ということだ。春季キャンプでは打撃投手の予定が順延となり、2度目の実戦登板は雨で流れた。さまざまな試練が立ちはだかる「二刀流」挑戦。「体は大丈夫」と前向きな笑顔があれば、きっと成功への道を開く。【中島宙恵】