楽天のルーキーが、プロ野球史に名を刻む。ドラフト2位則本昂大投手(22=三重中京大)が今日29日、ソフトバンクとの開幕戦(ヤフオクドーム)に先発する。新人が開幕投手を務めるのは、84年高野(ヤクルト)以来29年ぶり。パ・リーグでは58年の杉浦(南海)が最後で、実に55年ぶりとなる。強気が売りの右腕が、3年目を迎えた星野楽天の大役を担う。

 半世紀以上ぶりとなる“快挙”にも、当の本人は平然としていた。新人の開幕投手は、パ・リーグでは58年杉浦が最後。立大から南海に進み、エースとして活躍した球界の大先輩の話題に、則本は「知ってます。光栄です。でも、実感ないんです。僕が生まれる前の話なので」と正直だった。

 大役を伝えられたのは、オープン戦の全日程終了後だった。エース田中がWBCで不在の中、オープン戦5試合に登板して3勝0敗、防御率1・44と申し分ない結果を出した。佐藤投手コーチから告げられた時は、「実感がなかった」。本番になればスイッチが入るタイプなのかも知れない。「当日になれば緊張も出てくるでしょうね」と、良い意味で人ごとのようだった。

 28日はキャッチボールやランニングなど軽めのメニューで最終調整を行った。リラックスした様子だったが、語気を強めた瞬間があった。「開幕戦に新人が投げるなんて無理だろう、と思われる人もいるかも知れない。自分の力を出して、勝てればいい」と、周囲の疑念をシャットアウトするつもりだ。

 母校愛もモチベーションの1つだ。新人開幕投手の記録には出身校(三重中京大)が記される。同大学は今年で閉校となったため、最後の卒業生として「大学の名前に泥の付かない投球をしたい」と意気込んだ。

 星野監督は「良い投手だから。そして、これからこのチームを背負っていくだろうから」と大きな期待を口にした。「このチームは無難じゃダメ。突き進んで行かなきゃ」とも言った。強打者にも臆せず、内角を突くスタイルは監督好み。強気のルーキーに、就任3年目の第1歩を託す。【古川真弥】