<楽天2-11ロッテ>◇8日◇Kスタ宮城

 5年目右腕が、うれしいプロ初勝利だ。初先発のロッテ西野勇士投手(22)が楽天戦で7回無失点。前日7日も先発したが雨天ノーゲーム。仕切り直しのマウンドで首位チームを抑え込み、チームの連敗を3で止めた。08年育成ドラフト5位で入団し、昨年11月に支配下登録された苦労人。育成ドラフト入団選手の初先発白星は史上初だ。

 育成出身の初々しさはない。“連投”の西野はまだ、すべてを出し切ってはいなかった。ノーゲームとなった前日は使わなかったカーブを解禁。3回1死二塁で、聖沢の2球目に初めて投球した。緩い変化球もあると認識させて、決め球フォークで3球三振に仕留めた。中盤からはカーブを多投し、内角も大胆に攻める。1日たって研究されても、その上をいくしたたかさがあった。

 最速は2回27球を投げた前日と同じ143キロを記録。右肘に「ちょっとした張りがあった」が、マウンドで表情は一切変えない。連投の疲れを感じさせず「うれしいです。昨日の続きという気持ちで投げました」と試合後に白い歯を見せた。暴風警報が発令された仙台で、この日の最大瞬間風速は30・8メートル。投球前に体勢が崩れてプレートを外す場面はあっても、制球は乱れない。愛称は顔の雰囲気から「チェ・ホンマン」。格闘界で活躍する本家ばりに、ピンチにも強風にもポーカーフェースで堂々と振る舞った。

 5年目の22歳は昨シーズン終了後、支配下登録された。2軍通算成績は2勝7敗とパッとせず「4年やってもダメで心が折れそうでした。不安は常にありました」と苦労を思い返した。昨年、2軍調整中だった里崎に受けてもらい「1軍で通用する」と言われ、腐らずに精進した。育成出身の先輩岡田からは「はいつくばってでも1軍で生き残れ」と激励され、2日連続のチャンスを逃さなかった。

 昨秋キャンプで西野を発掘した伊東監督は「先発のコマが足りなかったから、本当に助けてもらったね」と労をねぎらった。成瀬、グライシンガーを欠き「救世主が出てこないかな」と試合前にぼやいていたが、連投に耐えて結果を出した孝行息子の出現はうれしい誤算。ウイニングボールを手にした西野は「普通ですけど、両親にあげます」とうれしそうに言った。強気なマウンドを降りれば、純朴な富山出身の22歳だった。【柴田猛夫】<西野勇士(にしの・ゆうじ)アラカルト>

 ◆生まれ

 1991年(平3)3月6日、富山・高岡市。

 ◆球歴

 小2から野手として野球を始め、新湊1年時に投手転向。3年夏は富山大会準V。08年ロッテ育成ドラフト5位指名。12年11月に支配下登録。背番号131から67に。「プロで新湊旋風起こしたい」。

 ◆サイズ

 182センチ、82キロ。右投げ右打ち。

 ◆球種

 カーブ、スライダー、フォーク、ツーシーム。自己最速147キロ。

 ◆好きな言葉

 努力。

 ◆好きな食べ物

 ラーメン。

 ◆好きな歌手

 Mr.Children。

 ◆好きなタレント

 なし。テレビはあまり見ない。

 ◆憧れの選手

 なし。「マネしてもその人にはなれない。それより自分の限界までいきたい」。

 ◆ポーカーフェース

 高校時代からよく言われる。顔には出ないがあがり性。

 ◆北陸の星

 石川県の角中の地元まで車で20~30分。「同じ北陸として角中さんの次にブレークしたい」。