<日本ハム1-9楽天>◇9日◇東京ドーム

 マー君がプロの経験と力の差を見せつけた。楽天田中将大投手(24)が日本ハムを7回5安打1失点(自責0)に抑え、2勝目を挙げた。日本ハムのルーキー大谷とも初対戦。2三振を含む3打席凡退と、完璧に封じた。打線も13安打9得点で強力援護。前日は2ケタ失点で連勝が2で止まったが、エースで快勝し再び首位に浮上した。

 ラスト1球は力が入った。7回2死走者なし。大谷と3度目の対戦を迎えた。田中は「打たれたら盛り上がるだろうなと。盛り上げないためにも、三振を狙いましたよ」と、悪びれずに明かした。3球連続直球で追い込むと、外角めがけ思い切り腕を振った。最後も直球で150キロ。「二刀流」ルーキーのバットは振り遅れた。

 全打席で圧倒した。3回の第1打席は3球ボールの後、直球で3球連続見逃しストライク。5回の第2打席は1死一、二塁に「狙い通り」の遊ゴロ併殺。ヒーローインタビューでは「ファンの方の期待が声援で分かった。そう簡単に打たせたら面白くない。意地を見せられたかな」と人懐っこく笑ったが、ベンチ裏で大谷の印象を聞かれると「初見なので分からない部分はあるけど、怖さはない」。勝負あり、だった。

 沢村賞投手とルーキーの差は、当然ではある。田中の真骨頂は、開幕から状態が上がらなくても勝っていること。この日も「何も良くなかった」と認めた。そんな中での圧勝。プロ7年目で、培った経験の違いを見せつけた。

 経験の大事さを、後輩にも分かって欲しいと願っている。4日のオリックス戦で、2年目の釜田が自己ワースト8失点で炎上した。翌日、田中は釜田に会うと、ひと言「何やってんの」と言った。一緒に自主トレをする仲。かわいがっていても、技術的な助言は与えなかった。釜田が投球フォームで苦しんでいると伝え聞くと、語気を強めた。「当たり前ですよ。僕だってそうなんです。自分でやっていかないといけないんですから」。田中自身、昨季はフォーム修正を繰り返した。故障も味わった。前年(11年)の19勝が10勝に減った。それでも、8月末から4連勝でフィニッシュ。苦しんだ末に光を見た。

 2戦2勝と順調な滑り出しだが、浮かれはしない。「状態が良くない中でファイターズを抑えられた。自信になります」と、努めて冷静に締めた。勝っても経験。負けても経験。全てを糧に、また次の登板に臨む。【古川真弥】