<阪神0-0巨人>◇10日◇甲子園

 死闘の主役にはふさわしい男だ。阪神西岡剛内野手(28)が打って、守って、ミスで、巨人戦の中心にいた。バットでは2安打1四球と3出塁。守備では好プレーを演じつつ、ミスでピンチもつくってしまった。巨人追撃へ、新切り込み隊長から目が離せない。

 勝利への渇望が胸の中で渦巻いていた。西岡が不満をあらわにした。延長12回、4時間14分。クラブハウスにつながる通路で、吐き捨てるように言った。

 「引き分けでも悔しい。アウェーなら引き分けでも勝ちに等しいが、ホームなんで。負けなかったのは、OKだけど、勝てなかったのは悔しい」

 良くも悪くも、西岡は激戦の中心にいた。1番打者としては、2安打1四球で3度出塁。4戦連続安打で、リードオフマンの役割を果たした。守備でも華のあるプレーが光った。6回に一、二塁間のゴロに飛びついた。11回の二塁後方への小飛球に体をねじりながら、ジャンピングキャッチ。いずれも阿部の打球。敵の主砲をグラブで封じ、流れを渡さなかった。

 「いつも初戦を取って、負け越しているから。連勝していないから」

 前夜に接戦を制した瞬間から、この日の一戦に集中していた。開幕からカード初戦に全勝しながら、チームは借金生活。西岡自身も精彩を欠く。開幕2戦目は3打数ノーヒットで2三振。サヨナラ打を放った翌日の3日中日戦は腰の張りで欠場。責任を感じていた。杉内と山口という苦戦を強いられてきた左腕から、それぞれヒットを放った。これは今季を戦う上で、大きな意味がある。

 好プレーだけでなく、ミスもあった。8回表の守備では打球を待って捕球し、脇谷に内野安打を許した。その裏には大和のバントでスタートが遅れ、二塁で封殺された。しかし、補って余りあるスター性がある。

 「向こうも守りきっている。お互いがゼロに抑えられている。投手、守備陣が踏ん張ったが、ホームということで勝ちたかった」

 初めて経験する伝統の一戦。2試合が終わり、「1番二塁」の新戦力が大舞台で力を発揮するのは十分に分かった。昨年、5勝15敗4分けで惨敗を喫した宿敵に、西岡という「一手」で切り込む。【田口真一郎】