<オリックス6-7日本ハム>◇14日◇ほっともっと神戸

 派手な空中戦の主役の1人は、ドヤ顔で帰路に就いた。日本ハム中田翔内野手(23)が、スーツの上着をなびかせながらさっそうとほっともっと神戸を後にし、札幌へと向かった。観衆の首が痛くなるのを心配するほど両チームで計7本塁打。「うん、良かったよね」。鮮やかな逆転劇の伏線をつくり、横顔に西日を受けながら、貫禄十分にうなずいた。

 布石を打った。先制しながら、3点を追う展開になった直後の4回。先頭の陽岱鋼が追撃ムードを高める1発を放ち、中田がその流れを完全にした。2死から左翼席へソロ。リーグ単独トップの4号で、試合途中で今季初猛打賞も決めたが、反骨心はたぎりっぱなしだった。「まだまだ。もっと頑張らな!

 頑張らな勝たれへんから!」。

 気合十分の主砲の一振りが、ノーガードの打ち合いを制すポイントになった。7回のホフパワーが2試合連続弾。8回に「昨日の失策があったので打って返したいと思っていた」という西川が今季1号、陽岱鋼が自身初の1試合2発と2者連続本塁打と、4番に続いた。09年以来、4年ぶりの1試合5本塁打の豪快な1勝へとつながった。

 発奮材料で、テンションは沸騰していた。この日、大谷が出場選手登録抹消。ともに戦っていた1軍舞台から去った。中田は先輩らしく気遣い、外野の一角をともに務めていた大谷へと思いを重ねていた。「(大谷は)また上がってくると思う。変に考えすぎず頑張ってもらえれば」。おとこ気あふれる中田の“SHOWタイム”で、反攻ムードが高まってきた。

 ▼日本ハムのチーム1試合5本塁打は09年9月29日オリックス戦(札幌ドーム)で高橋が1本、スレッジと糸井が2本ずつ放って以来4年ぶり。11年の統一球導入後、チーム1試合5発は最多タイで西武が11年5月21日中日戦、阪神が同7月17日横浜戦で記録したのに次いで3度目。