<広島7-1中日>◇28日◇マツダスタジアム

 3年目の広島中村恭平投手(24)が通算5度目の先発でプロ初勝利を飾った。今季最多、3万1723人が集まったマツダスタジアムで、最速150キロの直球を武器に7回3安打無失点の快投だ。打線も13安打7得点し、天敵中日に2カード連続の勝ち越し。負ければ最下位転落の危機を救った「88年世代」の左腕が、覚醒の時を迎える。

 最初からエンジン全開だった。約3万人で埋まったスタジアムがどよめいたのは初回、中村恭の2球目だった。大島がかろうじてバットに当てた直球の球速は150キロを表示した。

 「計算できるタイプではないので。行けるところまで、行こうと思っていたけど、最後は握力はなかったです」

 回を重ねるにつれ球速は落ちていったが、中日打線につかまることはなかった。7回、先頭藤井に四球を与えても、谷繁を直球で遊併殺打に打ち取る。ここで、マウンドに来た野村監督から「あと1人、頑張れ」と励まされると、柳田をスライダーで遊ゴロに仕留めた。7回で118球を投げ3安打無失点。5度目の先発で初勝利を手にした左腕は照れ笑いした。

 「勝ったんだなと。それより(2回2死からの)初安打の方がうれしかった」

 今年1月、伸び悩む中村恭ただ1人のために、松田オーナー発案の再生計画が遂行された。大野練習場に、球団首脳が集結。150キロ超の直球を出していた大学時代の映像を参考に、フォーム改造に着手した。プロ入り後は制球難に苦しみ、変化球主体のかわす投球が染みつき、最大の魅力が薄れていた。

 才能開花のヒントは小学生のころにあった。原点に回帰したワインドアップからの投球が、力感ある投球を呼び起こした。「スピードが無ければ、訳の分からない投手なので」。セットポジションをやめ、今では速球派の持ち味をはっきり自覚している。腕を振ることで制球難を克服し、昨季パ・リーグMVPに輝いた日本ハム吉川とは同じ88年世代。「あんな感じになれば」と理想像を語る。

 昨季は左腕先発投手の勝利は3つだったが、今季は26日の久本に続き早くも2勝目。課題だった左腕不足に待ったをかける救世主が現れた。【鎌田真一郎】<中村恭平(なかむら・きょうへい)アラカルト>

 ◆生まれ

 1989年(平元)3月22日、福岡市。

 ◆球歴

 小4時、岩戸北ジュニアで野球を始める。横浜・あざみ野中時代は横浜青葉ボーイズ。立正大淞南高(島根)では3年春からエースで県8強が最高だった。富士大(岩手)では北東北大学リーグ通算5勝5敗。

 ◆球種

 スライダー、カーブ、フォーク。自己最速は153キロ。

 ◆憧れの選手

 チェン・ウェイン(オリオールズ)。

 ◆イケメン

 大学2年時の帰省中に、東京の新宿・歌舞伎町でホストの勧誘を受けた経験がある。「高校まではバレンタインチョコレートをもらったこともなかった」。

 ◆サイズ

 185センチ、74キロ。左投げ左打ち。