<広島0-4阪神>◇7日◇マツダスタジアム
好きよキャプテン!
難攻不落のマエケンからようやく刻んだ「1点」は、阪神主将鳥谷敬内野手(32)の1発だった。今季29イニング目、通算31イニングぶりの得点を6回、右中間への5号ソロでもぎ取った。ゴジラ松井を抜いて歴代単独3位となる1251試合連続出場を勝利で、それも決勝弾で飾る格好よさ。お土地柄、鉄人が育つ広島で3連勝の貯金11だ。
頑丈で重たい扉を鳥谷は力ずくでこじ開けた。打球が右中間最深部席に着弾した瞬間、ようやく呪縛から解き放たれた。あくまでクールに決めポーズ。「藤浪が頑張っていたしなんとか先に点を、というのはあった」。西岡とハイタッチした後、笑みがこぼれた。
マウンドには虎の天敵、前田健がいた。試合前の時点で今季3戦3敗。23イニングで1点も奪えていない相手だった。この日も5回までホームが遠く、両チーム無得点の6回1死。3番鳥谷が初球の真ん中スライダーに快音を響かせた。「今までのことは関係ない」。50日ぶりの1発となる先制5号ソロは決勝弾。今季29イニング目で初めてマエケンから奪った得点だ。
1年前、人知れず手負いの状態でプレーしていた。7月10日中日戦。甲子園で飛球を追いかけ、三塁新井良と激突。首付近を負傷していた。1カ月半、激痛は消えなかったと言う。「その間に、ありえないような送球ミスもしてしまった」。それでも公の場では決して負傷を悟らせなかった。目の前に良太がいれば「あ~首が痛い!」といじり、あえて笑いに変えた。後輩に気を使わせないように…。そんな姿を仲間はずっと見ている。
甲子園では通常練習が始まる4時間以上も前からトレーニングを開始する。WBC合宿中も早朝、全体練習後に黙々と体をいじめ続けた。「ケガをして出なかったら、誰かがその場所を守って、居場所を失うかもしれないでしょ?」。右肋骨(ろっこつ)骨折に腰骨折、右手人さし指負傷、そして首痛…。何度も訪れた欠場のピンチを努力と危機意識で乗り越え、今がある。
1年目の04年9月9日ヤクルト戦から、1251試合連続出場を記録。松井秀喜の1250試合を抜き、歴代単独3位となった。それでも「野球をやめたら振り返るかもしれないけど、今は記録とかまったく考えない」と気にも留めない。かつて金本に教えられた。「その日しか球場に来れない人のために、毎日出続けるんよ」。記録のためにプレーしているわけじゃない。だから七夕の日も、3連勝に充実感を覚えたはずだ。【佐井陽介】



