<阪神6-1中日>◇10日◇沖縄セルラー那覇

 これが「新アニキ弾」や。南国沖縄で阪神西岡剛内野手(28)が3号3ランを描いた。愚直にプレーする姿は、昨季まで阪神でプレーした金本知憲氏に通じ、愛情たっぷりのイジリもヒーローインタビューで展開した。チームのムードも最高潮。5連勝で貯金は今季最多タイの13。さあ、沖縄で巨人追い上げの風に乗った虎が、甲子園に戻ってくる。

 沖縄シリーズのフィナーレを飾るのにふさわしい弾道だった。南国の虎党がお祭り騒ぎだ。高らかに指笛を吹き、絶叫する。2点リードの6回2死一、三塁。西岡だ。西川の初球の内角フォークに襲いかかる。完璧に射貫いた。白球は心地よく舞って右翼席に一直線。ボルテージは最高潮に達した。

 西岡

 久々に活躍した気分です。2死だし、待っているところに来たら(初球でも)思い切り行こうと。連勝中のいい流れを止めたくなかった。いいところで1発が出て良かったです。

 ベンチ前での決めポーズでは、珍しく、飛び上がって喜んだ。6月23日DeNA戦(横浜)以来の3号3ランで5点差をつけ、中日に引導を渡した。チームは5連勝。首位巨人も勝ち、3・5ゲーム差は変わらないが、地道に背中を追う。

 メジャーから復帰し、虎戦士としてスタートを切ったのが、この南国だった。2月キャンプイン直前。沖縄・読谷村の宿舎にチェックインすると、福留の部屋のドアをたたき、健闘を誓い合った。関本選手会長や鳥谷らと食事に出かけ、野球観を語り合った。「高校を卒業し、プロ1年目の気持ちに似ている。真新しい気持ちで新鮮でした」。目指すのは優勝だけ。一念を貫き、暑い夏を迎えた。

 プレースタイルもまったくぶれない。バットを手掛けるSSK社の担当者は言う。「ロッテ時代から重さや形が変わることはありません」。バットのモデルチェンジを図る選手も目立つなか、愚直に900グラム前後のタイプを用いる。偶然にも、昨季まで阪神でプレーした金本知憲氏の姿とダブる。別の関係者は「金本さんもそうでした。重さや長さなど、振ったときの感覚は染みついているもの。コロコロと替えてしまうと、基準が分からなくなる」と説明する。自らの感覚を信じ抜く。西岡が持つ「物差し」は泥臭く、一本気だ。

 8回には猛打賞となる中前適時打で、追加点を挙げた。移籍後最多の4打点。西岡が打点を挙げれば今季18勝1敗。新たな「神話」も生まれた。お立ち台ではアドリブもさえた。「本塁打でヒーローになってますけど、今日2エラーの坂君が、広島戦から非常に活躍したおかげですね」と話すと、ベンチを見て言う。「坂~!」。示し合わせたように背番号35も登場。台本なきトークで爆笑させた。

 それでも、最後は真剣な表情だ。「これからもっと厳しい戦いが始まる。僕らの上にもう1チームいる。追いかけて追い越して、チャンピオンフラッグを掲げて(来年)沖縄に帰ってきてキャンプしたい」。チームは今季最多タイの貯金13だ。5月から左膝痛が尾を引いた。7月には体調不良で5日広島戦を欠場。それでも、上昇気配を示し、原点の地で完全復活。背番号7が大暴れする虎の逆転Vロードは夢物語ではない。【酒井俊作】