<阪神6-1中日>◇10日◇沖縄セルラー那覇

 なんくるないさ~。阪神ジェイソン・スタンリッジ投手(34)が沖縄で、ひと味違った快投や。さすが地方球場大好き右腕。慣れないマウンドにも動揺せず、味方の拙守にも怒りをみせない。7回を投げて4安打5奪三振で1失点。6月12日以来、1カ月ぶりの白星となる5勝目をマーク。大きなハートで地方球場5連勝。猛虎打線の爆発を呼び込んだ。

 殊勲の右腕の手には「勝利のごほうびさ」とばかりに、細かく切られた沖縄名産・パイナップルの実がたくさんあった。沖縄効果なのか、スタンリッジが大きな心で?

 課題に打ち勝った。マウンド上でイライラした姿を見せ、大崩れすることの多かった右腕がグッとこらえる投球を見せた。8日に沖縄入りしてから、アグー豚や海鮮料理を平らげ、沖縄パワーを味方に付けての7回1失点投球。6月12日日本ハム戦以来、約1カ月ぶりの5勝目を挙げた。

 「今日はラッキーな日だったね。ピッチングでは思うように投げられなかったけど、いろんな場面でラッキーだった。野手のみなさんが援護してくれたので助かりました」

 序盤は明らかに、マウンドの感触を気にしており、イライラを隠せなかった。何度も足場を慣らし、時には足元に落ちていた石を拾い上げ、投げ捨てるしぐさもあった。3回のイニング始めには、マウンドに中西投手コーチと球団通訳を引き連れて上がると、何かを伝え、球場スタッフにマウンドをならしてもらった。

 さあここから。気合を入れたところに、落とし穴。先頭谷繁のゴロを、三塁坂が大きくはじき出塁を許した。坂はこの日、2回にも失策を犯していただけに、マウンド上の右腕にわびを入れに行った。当のスタンリッジは、イライラするどころか坂の尻をグラブでポンとたたき、「ノープロブレム」と言わんばかりに励ました。その後しっかり後続を断ちきった。

 実は、開幕直前の3月末に明かした目標がある。「3割を打ちたいんだ」。投球のことよりも先に、この言葉が出てきた。ジョーク半分だったかもしれないが、打席でも執念を燃やした。新井の手袋で臨んだこの日、2点目につながった5回先頭の安打に、チャンスを広げ、西岡の3ランを呼び込んだ6回の安打。今季ここまで1安打だった男がマルチ安打を達成した。「攻撃でも貢献したいとはいつも思っているよ」。笑顔に満足感があふれていた。

 防御率は依然セ・リーグトップの2・23。我慢を身につけた助っ人が、前半最後の天王山。15日からの巨人戦へ大きな弾みを付けた。【山本大地】