日本ハム大谷翔平投手(19)が11日、プロ初本塁打から一夜明けにアクシデントに見舞われた。11日の楽天11回戦(Kスタ宮城)の試合前練習中に、右側頭部付近にフリー打撃の打球が直撃。指名打者でスタメン出場予定だったが欠場。仙台市内の病院で精密検査を受け「右頬骨(きょうこつ)不全骨折」と診断された。幸い軽症で3日間の安静後に練習を再開し、復帰できる見込みだ。出場選手登録は抹消しないが、先発予定の15日西武戦(札幌ドーム)は回避濃厚。19日からのオールスターは出場予定も、回復状況をみる。

 緊迫感が突如、漂った。日本ハムの試合前練習中。大谷が大きな体を折り、右のこめかみ付近を押さえた。右翼付近でランニングのメニューを消化中。1本を走り終えてリラックスして歩きながら、またスタート地点へ戻っているところだった。球団関係者によれば、スタンドのファンからの呼びかけに応じようと、視線を向けた時だったという。二岡のフライ性の打球が、そのまま右側頭部を直撃した。

 想定外の事態が発生したのは午後4時40分ごろだった。周囲で目撃した選手によれば「危ない、危ない」などと声が飛んでいたが、避けきれなかった。ある選手によれば「パチン」との、乾いた音が響いたという。阿井ヘッドコーチとトレーナーに体を支えられながら、一塁側ベンチ裏へ消えた。周囲に「ズキズキします」と激痛があることを漏らしていたという。

 仙台市内の病院で精密検査を受け、診察結果は「右頬骨不全骨折」。3日間は絶対安静で、その後は痛みなどの経過を観察する。痛みと腫れがひけば通常メニューを再開し、実戦復帰の時期を決める。石黒チーフトレーナー補佐は「痛みがひけばプレーできる」と長期離脱は免れそうだ。食事の際にも影響がない程度の痛みで、日常生活にも支障はなさそうだ。

 この日はプロ入り初の指名打者で先発出場予定だったが、欠場した。負傷する前にはブルペンで63球の投げ込みを行った。先発予定だった15日西武戦(札幌ドーム)へ向けての調整だったが、登板見送りは確実とみられる。大谷の故障は4月に右足首を捻挫して一時離脱して以来。栗山監督がこの日、19日の札幌ドームでのオールスター第1戦での投手としての1イニング限定の起用を示唆していたが、その喜びも一掃されてしまうような不測の負傷になった。前夜にプロ1号を放って一夜明け、とんだアクシデントに見舞われた。

 ◆大谷のアクシデント

 高校時代は花巻東2年の11年7月2日、練習試合のマウンドで滑り、骨端線を損傷。正式病名は左股関節の骨と筋肉が離開する「左座骨結節の骨端線離開」。当初は左太ももの肉離れとみられていたが、同年夏の甲子園の精密検査で判明。日本ハム入団後は、4月13日のオリックス戦の守備で、ファウルを追った際に右足首を痛めて途中交代。「右足首の軽度の内反捻挫」と診断され登録抹消。1軍復帰は5月4日の西武戦までかかった。<最近の主な練習中の打球直撃>

 ◆広島新井コーチ

 6月14日、ルイスの打撃練習でトスを上げた際に打球が直撃。前額部挫創、頭蓋骨骨折の重傷を負った。

 ◆ソフトバンク長谷川

 宮崎キャンプ中の2月23日、フリー打撃の打球を捕る守備練習で足元に転がっていた球を拾うった際、別の打球が額を直撃。前頭部を陥没骨折した。

 ◆日本ハム斎藤

 11年4月5日、糸井のフリー打撃中に糸井の打撃フォームをまねしていた斎藤の尻にライナーが直撃。人気の新人にけがはなかったが、糸井は「焦った。打撃どころじゃなくなった」と冷や汗。

 ◆日本ハム武田勝

 08年4月29日、ランニング中にロッテ・ベニーのフリー打撃が左手親指を直撃。骨折で予告先発が変更となった。