<ヤクルト1-4巨人>◇26日◇神宮

 巨人西村健太朗投手(28)が、球団新記録となる今季42セーブ目を挙げ、初のセーブ王を確定させた。ヤクルト戦で3点リードの9回に登板。打者3人で片付け、41セーブで並んでいた08年クルーン(巨人)を抜いた。残り5試合となった中日岩瀬との差を6に広げ、球団の日本人選手として94年の石毛博史以来となるセーブ王を手中にした。

 記念のボールは勝利投手のホールトンに手渡した。西村は、いつもと変わらない心優しい守護神だった。「(ボールには)特にないんで」。42セーブという数字にも「みなさんのおかげでこういう記録ができた」と感謝の言葉が先に出た。

 記録は知っていた。だが、それより“締め方”を意識していた。「優勝した次の日の登板で自滅しそうだった。今日はきっちり抑えたかった」。優勝翌日23日の広島戦は9回に2死一、二塁の大ピンチを招き、プロ初勝利がかかった19歳の今村をヒヤヒヤさせた。その反省を胸にマウンドに立った。代打で好調な宮本も一飛に打ち取った。田中雅を143キロ直球で二ゴロに抑え「今日は3人で終われてホッとした」と安堵(あんど)感を先に覚えた。

 一喜一憂しないのは昨季の悔しさがあるから。リーグ優勝で胴上げ投手になったが、ポストシーズンで不振に陥った。CSでは1敗2セーブ、日本シリーズでは1敗、ともに防御率6・75と大乱調だった。「去年は最後は全然貢献できなかった。だから今年は最後まで貢献したいという思いがある」。これからが本当の勝負という思いがある。

 残り7試合で、日本記録の46セーブ(05年の中日岩瀬、07年阪神藤川)に到達する可能性がある。原監督は「無理をさせてもしょうがない。ただ頭には入れておきます」とインプットした。セーブ王のタイトルに「実感がない」という西村が金字塔へ、数字を積み重ねる。【広重竜太郎】