中日が来季新監督候補の1人として前監督の落合博満氏(59=日刊スポーツ評論家)をリストアップしていることが29日、分かった。3年契約が切れた11年限りで退任したが、白井文吾オーナー(85=中日新聞会長)が手腕をあらためて評価。在任8年で4度のリーグ制覇と53年ぶり日本一を導いた名将を候補に入れた。複数挙がっている他の新監督候補とともに、今後絞り込み作業を加速させる。

 中日の新監督候補に、落合前監督が浮上した。3年契約が切れた11年限りで退任し、高木監督にバトンを譲った。だがここへきて、白井オーナーらが、4度のリーグ制覇と53年ぶり日本一を導いた手腕をあらためて評価。球団が1度は手放した名将を、異例の出戻りという形で、有力候補の1人にリストアップした。

 落合氏は04年の監督就任後、広いナゴヤドームで勝つための守りの野球を徹底。森繁和ヘッドコーチ(58=野球評論家)とのタッグで、8年間すべてAクラスの常勝軍団をつくり上げた。キャンプの猛練習はもちろんのこと、年齢や実績を問わない競争主義、プロ意識をたたき込み、選手個々に応じた親身な指導を信念として妥協なきスタイルでチームを大改革した。そして岩瀬、浅尾、吉見らの強固な投手王国をつくるとともに、当時若手だった荒木、井端のアライバコンビや森野をレベルアップさせ、進化途中だった谷繁や和田を名選手に育て上げた。さらに、選手をひきつける求心力も抜群だった。

 落合監督の退任後、12年から高木監督が2年間指揮を執ったが、成績は急降下。特に今季は2ケタ借金で12年ぶりのBクラスが確定し、6年連続出場してきたCSも初めて逃した。主力の高齢化に伴う世代交代もうまく進まず、選手と首脳陣が意思疎通を欠いたチームは崩壊状態。そこで球団は、数々の難題を解決し、なおかつ常勝軍団を復活できる人物を新監督選びの絶対条件としている。浮かび上がってきた名前が、03年オフに白井オーナー自ら招聘(しょうへい)に動き、今なお野球観に心酔する落合氏だった。

 他の候補には、牛島和彦氏(52=元横浜監督)やケン・モッカ氏(62=元ブルワーズ監督)、立浪和義氏(44=野球評論家)、井上一樹1軍打撃コーチ(42)らの名前が挙がっている。新監督決定について、白井オーナーは「シーズンが終わってから」と10月決着のスタンスを明言しており、今後は落合氏も含めた絞り込み作業が本格化する。強竜復活へ、果たして落合監督復帰はあるのか。球団の最終決定が待たれる。

 ◆落合博満(おちあい・ひろみつ)1953年(昭28)12月9日、秋田県生まれ。秋田工-東洋大(中退)-東芝府中を経て78年ドラフト3位でロッテ入団。82、85、86年に3冠王。首位打者、本塁打王、打点王を各5度。最高出塁率7度。82、85年MVP。86年オフにトレードで中日へ移籍。93年オフにFAで巨人入り。96年オフには自由契約で日本ハム移籍。98年引退。通算2236試合、2371安打、打率3割1分1厘、510本塁打、1564打点。04~11年に中日監督を務め、リーグ優勝4度、07年日本一。監督通算629勝491敗30分け。現役時代は内野手。178センチ、78キロ。右投げ右打ち。