<日本ハム5-4ソフトバンク>◇4日◇札幌ドーム

 ソフトバンクが3夜連続で「魔の8回」に襲われ、正念場で3連敗だ。4-1の8回。抑えの五十嵐が無死満塁のピンチを招くと、嘉弥真へとスイッチした。この継投で一挙4点を失い大逆転負けとなった。クライマックスシリーズ進出には今日5日の日本ハムとの最終戦(札幌ドーム)に勝って、望みをつなぐしかなくなった。

 ウソだろ。ウソではない。これが今年のソフトバンクが直面した現実である。敗戦の将は多くを語らない。「最後なあ…」。秋山幸二監督(51)の頭の中を8回の悪夢が駆けめぐった。五十嵐に2イニングを任せる予定だったかと聞かれると、目線を遠くにやった。「今日はなあ…」。一挙4失点の大逆転負けで、3連敗。報道陣との会話が成立しないほどショック状態だった。

 当事者の五十嵐が敗戦の責任を真っ正面から受けとめ、口を開いた。「先頭打者を出したのが良くなかった。仕事ができませんでした。野手がいい形で点を取ったにもかかわらず、ふがいない投球をしてしまった。責任はかなりある」。ミスの許されないポジションで働いてきた。仕事への高い誇りが言い訳を許さなかった。

 4-1の8回。五十嵐の初球カーブは抜けて死球。その後、安打、ストレートの四球とわずか6球で無死満塁を招いた。回またぎのプランが乱調でぐらつき、3点リードながら秋山監督は守護神降板という、勝負カードを切った。

 結果的に4番手の嘉弥真には荷の重すぎる火消しとなった。適時打と併殺崩れの内野ゴロで2点をかえされ、陽岱鋼を敬遠気味に歩かせた直後、杉谷に逆転の2点適時打。ピンチではなく、ベンチの思惑が消し飛んだ。高山投手コーチは継投失敗について「いろんなことを想定した。(結果は)しょうがない」とうなるように声を絞った。

 直前の西武2連戦、西武ドームでも同じ8回にファルケンボーグが2夜連続で先頭打者に決勝ソロを浴び、2連敗。その右腕は東京から札幌に到着後、首と背中の張りを訴え、福岡へ送還となった。柳瀬が2連投していたのも、五十嵐起用の選択肢に流れる背景にあった。

 試合前の秋山監督は練習中に日本ハム中田を笑顔で打撃指導していた。正念場を控えたタイミングでも、将来を嘱望される大砲へいつもの優しさを見せはしたが、最下位に足をすくわれるまさかの結末。これで2位の可能性は消え、今日5日の最終戦に敗れるとCS進出は完全に消滅。今シーズン144試合目。まずは勝ち、西武の敗戦を祈り続けるしかない。【押谷謙爾】