阪神が日本ハム・鶴岡慎也捕手(32)の獲得調査に乗り出したことが29日、明らかになった。鶴岡は28日に今季取得した国内FA権を行使する意向を表明。阪神は捕手強化を今オフの課題に挙げており、強い関心を示した。安定感のあるインサイドワークで、レンジャーズ・ダルビッシュをはじめ、投手陣の信頼が厚かった。守備力アップに最適の人材だ。

 阪神が「ダルビッシュの女房」の獲得に乗り出した。日本ハム鶴岡が28日に取得したFA権の行使を表明。残留交渉で慰留されたが、「他球団の評価を聞いてみたい」と漏らした。これに、猛虎が強い関心を示し、調査に動いた。

 今オフの補強は「4番」と「投手」を最優先事項に掲げているが、課題はそれだけではない。捕手強化もテーマの1つ。今季は正捕手の藤井彰に、ベテランの日高も加わった。しかし2人とも故障に苦しみ、1年間、マスクを託せる状況にはなかった。中堅以下でも、清水や小宮山らがいるが、レギュラーを任せられるメドは立っていない。球団フロントは鶴岡を獲得リストに載せた。

 実績や経験は申し分ない。鶴岡は02年ドラフト8巡目という下位指名で日本ハムに入団し、たたき上げで1軍定着を勝ち取った。他の捕手と併用されることが多かったが、エースのダルビッシュから信頼され、登板時にはマスクをかぶった。09年にはゴールデングラブ賞を受賞。昨年には左腕吉川と最優秀バッテリー賞にも選ばれ、チームのリーグ制覇に貢献した。明るい性格で、投手陣の人望を集める。バッテリーをまとめる点においても、頼もしい存在だ。

 阪神では城島や藤井彰、日高ら毎年のようにFAで捕手を獲得し、育成が進まない現状がある。それでも悲願のリーグ制覇に、補強も必要。「簡単に育成できるポジションではない。補強にフタをする必要はない」と球団首脳は言う。鶴岡の今季年俸は7600万円。Bランクに属し、人的補償を求められる恐れがある。他球団との争奪戦に発展する可能性もあり、慎重に調査を進めていく。(金額は推定)

 ◆鶴岡慎也(つるおか・しんや)1981年(昭56)4月11日、鹿児島県生まれ。樟南高時の2年春と3年夏に2度甲子園出場。3年夏の大会では準決勝に進出した。三菱重工横浜硬式野球クラブを経て、入団テストを受け02年ドラフト8巡目で日本ハムに入団。05年のフレッシュ球宴で本塁打を放ちMVP。06年からはダルビッシュの先発時にマスクをかぶる機会が多くなり正捕手についた。オールスター出場2回(12、13年)。ベストナイン1回(12年)、ゴールデングラブ賞1回(09年)昨季には吉川とのコンビで最優秀バッテリー賞を受賞した。今季推定年俸7600万円。177センチ、77キロ。右投げ右打ち。