今季国内フリーエージェント(FA)権を取得した中日中田賢一投手(31)がソフトバンク入りする可能性が高いことが6日、分かった。同日、球団に申請書類を提出。3年契約を提示し残留要請している中日を始め阪神、ヤクルトも興味を示しており争奪戦となるが、福岡生まれのタフネス右腕は“地元凱旋(がいせん)”の可能性が高い。

 今オフFA戦線で注目を集める中田賢は名古屋、中日を離れ故郷・福岡のソフトバンク入りする可能性が高くなった。この日、中日球団に申請書類を提出した。関係者は「地元に戻って、という気持ちが強いようだ」と説明。すでに残留交渉した中日や興味を示している阪神、ヤクルトだけでなく、ソフトバンクも獲得に乗り出す方針を固めていることが判明。他球団は14日の公示を待って正式に名乗りを上げ争奪戦のゴングが鳴るが、愛着ある地元に新天地を求めることになりそうだ。

 品行方正、まじめな右腕はこの日もコーチ陣に確認を取った上で、中日の秋季キャンプに参加。慣れ親しんだユニホームでこれまで通り6時間に及ぶハードなメニューを消化した。そして自らの思いを口にした。

 「落合GMからも自分の権利だからしっかり考えろと言われている。しっかり考えます。話をしていただける球団はすべて聞きたい。話をしていただけるだけで幸せ。自分が一番投げたいと思えるところでやりたいです」

 推定7000万円の今季年俸で格付けされたランクは、金銭と人的補償の必要がないCランクとみられる。宣言すれば複数球団による争奪戦は必至の“人気銘柄”。魅力は落合GMが監督時代に「暴れ馬」と呼んだ馬力十分のボールと、先発、中継ぎ問わずフル回転できるタフさ。ただ、FA宣言にあたり「タイプ的には先発。先発で必要としていただけたら、と思います」。この1点には、強いこだわりをみせた。

 落合GMが出馬した中日から、交渉の席ですでに3年契約、年俸は変動制の3年最大3億という条件提示があった。ただ、今後の上積みなどは一切ないとも、この日伝えられたという。ソフトバンクは過去にも内川、細川ら4年契約をベースにFA交渉を次々とまとめており、今回も同様の大型契約を提示するとみられる。資金力も豊富で、他球団を上回る金額提示が可能だ。北九州市大で活躍した04年以来、10年ぶりとなる“地元凱旋”の日が近づいている。(金額は推定)

 ◆中田賢一(なかた・けんいち)1982年(昭57)5月11日、北九州市生まれ。八幡-北九州市大を経て04年ドラフト2巡目で中日入団。ローテーション投手として活躍してきたが、今シーズン中盤は救援に回り15ホールドを記録した。180センチ、78キロ。右投げ右打ち。