井端の穴は、競争で奪い取って埋めろ-。中日谷繁元信捕手兼任監督(42)が9日、退団の決まった井端弘和内野手(38)の穴、遊撃を巡る争いのゴングを鳴らした。

 1週間ぶりにナゴヤ球場で実施中の秋季キャンプを訪れた若き指揮官は真っ暗になるまで選手に熱い視線を注いだ。最後に室内練習場へ。ノックバットを手にじっと見つめる先では高橋周、堂上直、吉川の内野手が並んで打ち込んでいた。

 長年にわたり中日の二遊間に君臨し、今季100試合に出場した井端の退団が決まった。遊撃にぽっかり大きな穴が開いた。この事実に初めて言及。若手の競争をあおった。

 「他の選手がどう感じてくれるか。チャンスが増えたととるか、それともああいう形の退団になったことに不安を抱くのか。補強は現時点では考えていない。いっぱいいるじゃないですか。自分がつかみ取ろうと思ってやってくれたらいい」

 確かに候補は多い。3年目を迎える高橋周についても「もちろん」と、本格的に遊撃にコンバートし競争させることを明言した。堂上直、吉川、谷、岩崎、森越らとガチンコで競わせる方針を打ち出した。

 高橋周は「(胸の内で)思っていることはあるけど、やることは変わりません。まだまだですけど、このキャンプで守備の基本を身に付けたいです」と言った。谷繁監督が出した第一条件は「守りじゃないですか。二遊間は」。ポスト井端。その座を巡る争いが激しさを増せば増すほど、チーム力はアップするはずだ。【八反誠】