広島大竹寛投手(30)が12日、今季取得した国内フリーエージェント(FA)権を行使することを表明した。この日、広島市内のマツダスタジアムで球団側に最終決断を報告し、鈴木清明球団本部長にFAの申請書を提出した。「FA権を行使します。他球団の話を聞いてみたい」と心境を明かした。大竹には、巨人、ソフトバンク、楽天が調査を進めており、争奪戦は必至だ。

 大竹が広島を去り、新たな道を踏み出しそうだ。手続きを終え「FA権を行使します。他球団の話を聞いてみたい。どう評価してくれるのか、野球する上での環境を中心に聞いてみたい」と言い切った。

 球団とはすでに3度の残留交渉を行い、大竹自身は単年契約を希望していたもよう。4000万円増の推定年俸1億4000万円を提示されたとみられ、条件面では大筋合意に達していた。悩み抜いた末、10日に球団側へ意思を報告。「(広島で)優勝したい気持ちはもちろんある。それ以外にも大事なものはいっぱいある。挑戦したい、新たな世界を知りたいというのが正直なところ」。野球人としての欲求がカープ愛を上回った。

 「カープも含めて考えたい」と話したが、すでに巨人、ソフトバンク、楽天と複数球団が獲得に名乗り出ており、退団は決定的。鈴木球団本部長も「悩むだろうけど、その中の選択肢に(広島が)入ることはないだろう」と白旗を上げざるをえない情勢だ。今季自身初の2年連続2ケタ勝利を記録し、16年ぶりのAクラス入りに貢献。前田健、バリントン、野村と「2ケタ勝利カルテット」を築きあげたが、わずか1年での解体となる。【佐井陽介】