国内フリーエージェント(FA)権を行使する日本ハム鶴岡慎也捕手(32)が、来季去就を国内他球団移籍へ一本化したことが13日、分かった。申請手続きを完了し、今日14日にFA宣言選手として公示される。入団から11年間在籍したチームへの愛着が強く、宣言残留も視野に入れていたが、苦悩の末に新天地で再出発する決断に至った。明日15日の交渉解禁日から退路を断ち、興味を示すソフトバンクと阪神を含めた他球団と交渉し、来季以降のプレー先を決める。

 覚悟は決まった。鶴岡が、日本ハムに別れを告げる決断を下した。FA宣言選手公示を翌日に控えたこの日、札幌市内の室内練習場で自主練習に打ち込んだ。「もちろん、ありますよ。いろいろな思いが…」。そう語気を強めてチームへの熱い未練を吐露したが、決断を下していた。周囲の近い関係者によれば「移籍という結論を出したようだ」。残留せず、野球人生を再スタートする考えを固めた。

 熟慮の末に、まず答えを出した。今季でプロ入り11年目。10月28日に球団側と話し合いの場を持ち、権利を行使することを表明した。近年の日本ハムの躍進を象徴する1人であることから、その席上では宣言残留も容認された。鶴岡もテスト入団から成り上がるチャンスをもらった球団への恩義があり、深く苦悩したという。野球人生の円熟期に突入する分岐点で、強い向上心に従い、新天地で挑戦する決意をした。

 方向性を出したことで、今オフのFA市場を騒がす1人になりそうだ。ソフトバンク、阪神が獲得に乗り出す方針を決定。資金力豊富な両球団以外にも参戦する球団が現れる可能性が少なからずあり、争奪戦となることは必至の情勢だ。名乗りを上げてもらえれば、日本ハム以外の他11球団すべてとの交渉に応じる姿勢。「移籍するならば、必要とされて行きたいと思う。捕手として評価してくれるところへ行きたい」と、相手側の熱意を移籍先決定の最優先事項にする。

 明日15日に交渉が解禁され、今後の進路を定めていく。来年1月には第3子となる長女が誕生予定。自宅を札幌市内に構えており、移籍する際には単身赴任で、体ひとつで乗り込むと決めている。「一からやりたいと思える球団。やっぱり捕手ですから。悔いのない選択をしたい」。熱烈な応援を受けた日本ハムファンへサヨナラを告げるのはつらいが、一野球人としての信念を貫く。鶴岡が北海道を旅立ち、一世一代の大勝負をかける。