「佑ちゃん復活元年」が幕を開けた。日本ハム斎藤佑樹投手(25)が、日刊スポーツの2014年新春インタビューで、右肩関節唇損傷から完全復活を目指す今季への熱い思いを語った。野球人生を左右しかねない故障を乗り越え、臨む4年目のシーズン。1年間を通して先発ローテーションを守るというプロ入り以来の大目標を胸に、最下位からの巻き返しを期すチームの象徴となる。
チームの誰よりも、今季にかける思いは強い。佑ちゃんが再起を目指す1年が幕を開けた。迷いはない。力強いまなざしで、新たなシーズンへの率直な思いを明かした。
斎藤
覚悟って言葉に表せないものだと思っているんですよね。こればかりは、いくら口で言っても意味がないので。口に出したくないというか、出すものじゃないですね。なんかもう、やるしかないっていう、それだけです。
今季の目標も、シンプルだ。昨季までの3年間、達成できなかった壁に挑む。
斎藤
僕のプロに入った時の目標は1年間通して(先発ローテーションを)回ること。それを毎年、僕は目標に掲げていて、それができていないので。
右肩は痛みも、不安もなくなった。勝負の4年目。気負わず、自然体で臨む。
斎藤
これができなかったら、何をするってわけでない。(結果が出なければ引退とか)それを思う、思わないは、その時の状態なので、関係ないですよね。引退は全然、先だと思っています。
大きな試練を乗り越えたからこそ、希望に満ちた未来を見据えている。一時は、野球ができなくなる危機感を抱いたこともあった。地道なリハビリの末、昨年6月に2軍で試合復帰。再発せず、順調に登板を重ねたことが、自信につながっている。
斎藤
僕、今プロに入って一番手応えをつかんでいる。もうこのままシーズンに向かって、このペースで行きたい。
昨季はチームも苦しい1年だった。前年優勝から一転、12年ぶりの最下位。日本一の楽天は、06年夏に甲子園で決勝を投げ合った田中が大車輪の活躍でチームをけん引した。マー君と同じエース番号「18」を背負う身として、責任の重さを感じていた。
斎藤
他のチームの18番を見ていて、いろいろと…。やっぱり1軍で活躍してこその18番だと思った。18番は、すごい誇りを持っていますから。
今季、先発争いは激化する。開幕投手に内定している吉川、左腕エースの武田勝、移籍2年目の木佐貫に新外国人メジャー通算16勝のメンドーサも加入。二刀流2年目の大谷も栗山監督の期待が大きい。中継ぎから先発に転向する石井や、若手の中村や上沢らライバルは多い。
斎藤
周りは気にしなくちゃダメですよね。それはもう、キャンプの段階から始まっている。最終的には僕自身ですから。5勝、6勝くらいだったら、こっちを使った方がいいよなとなるんですけど、10勝、15勝するピッチャーを外したりはしないんで。
計算できる投手が、目指す理想像だ。最低ラインは2ケタ勝利。実現するには、先発ローテ入りが必須になる。競争を勝ち抜くため、開幕までに何をアピールしていくのか。
斎藤
全部ですよね、全部。総合的に良くないと、1年間回れないですし。コントロールだけとかスピードだけとか、ないですし。僕は総合力のピッチャーだと思っている。そこですね…って言うか、結果です。肩はもう治っているので、結果です。自分のやろうとしていることが、やれなかったとかそういうことではなくて、もう結果ですね。
徹底的に結果にこだわる。言い訳もしない。そのために今オフは投球フォーム固めに重点を置いている。
斎藤
(頭の中に)理想のフォームはありますけど、それを体現するのがプロなので、そこをやっていかないと1年間回るためにはきついですよね。
現状で投球フォームの完成度は80%。春季キャンプまでに100%に持っていくことが課題だ。不自由なく投げられるからこそ、感じる苦しみ。昨季、一番のつらさを感じた部分だ。
斎藤
投げられてからの方が、僕はしんどかった。(リハビリ中は)日に日に良くなっていったので、先はすごく見えていたんですよね。でも(試合で)投げられてからは、フォームを直していますし、すごく良くなるんだろうなと思っていたんですけど、現実はそうはいかなくて。投げられるだけでは、野球は難しいんだなって思いました。
試練を乗り越え、いよいよ完全復活を目指すシーズンが始まる。
斎藤
1勝したら、(新聞などは)完全復活って書くでしょ?
僕の中では、そんなんどうでもよくて。1年間、先発ローテーションで回ること。それが復活というか、成長。
最下位から巻き返しを図るシーズン。佑ちゃんが強い決意を持って、チーム再興のシンボルとなる。【取材・構成=木下大輔】<プロ入り後の斎藤佑樹>▼10年12月9日
札幌ドームで入団会見。約8000人のファンの前でユニホーム姿を初披露。▼11年2月1日
初キャンプは1軍スタート。名護には佑ちゃんファンが殺到。▼4月17日
ロッテ戦(札幌ドーム)でプロ初登板初勝利。▼5月8日
ソフトバンク戦(札幌ドーム)で左脇腹痛を発症。初の2軍降格。▼9月10日
楽天戦(Kスタ宮城)で田中とプロ初対決。初完投も黒星。▼12年3月30日
西武戦(札幌ドーム)で2年目にして初の開幕投手を務め、9回1失点で初の完投勝利。▼11月1日
日本シリーズ第5戦で初登板。2回4安打2失点も右肩関節唇損傷を発症。▼13年3月27日
初の開幕2軍スタートが決定。▼6月22日
2軍戦のフューチャーズ戦(鎌ケ谷)で実戦復帰。▼10月2日
オリックス戦(札幌ドーム)で1軍復帰登板。5回途中6失点で黒星。