ゲッツー量産?

 任せてください!

 阪神ドラフト1位岩貞祐太投手(22=横浜商大)がプロで生き抜く特技を評価された。鳴尾浜を訪れた黒田正宏ヘッドコーチ(66)に「ビビビッ」という感覚が走った。目線は、右翼で練習に励むドラ1左腕の動きに向けられていた。

 「(膝周りの打球を)うまく捕りよったからな。あれを捕ったらゲッツーを取れるようになる。楽しみやな」

 2人1組で打撃練習を行う岩貞が、投げる際に見せた一連の動きが目を引いた。投球すると、すぐさま低く捕球の体勢に。打球を捕ると、素早く投げ返し、再び捕る-。そんな単純な動作の繰り返しの中に、今季現場25年目を迎えるベテラン黒田ヘッドは左腕の新たな長所を発見した。ほめ言葉を伝え聞くと岩貞は「うれしいです」と素直に喜んだ。

 「特別な練習はしていないけれど、割と(投手への打球を)下に落とせたりしていた。(投手は)9人目の野手と常に大学の監督から言われていた」

 自らが壁となり、ピッチャー返しを仕留める自信はある。高校のときは細かいことを意識していなかったというが「投げ終わりの形を大学の時に言われるようになった。投げ終わった後、低い姿勢になることです」。それはいつの間にか、プロで通用する業と太鼓判を押されるまでになった。

 12日の3キロ走では、全体の3位につける好タイム。「長距離は好きだったけれど、横田がだいぶ速くて自信をなくした」と苦笑いだったが、ここでも地力を見せつけた。毎日のように浮かび上がる武器は、自分を守る盾となる。【松本航】