驚異のジャンプで本塁打もつかみ取る!?

 西武の新外国人、コーディ・ランサム内野手(37=カブス)が27日、成田空港着の航空機で来日した。三塁手候補の助っ人は60インチ(約152センチ)のボックスにほぼ助走なしで飛び乗れる跳躍力の持ち主。ヤンキース所属の09年にチームメートだった松井秀喜氏(39)からのアドバイスを胸に、新天地での活躍を誓った。グレッグ・レイノルズ投手(28=レッズ)マイケル・ボウデン投手(27=カブス)ランディ・ウィリアムス投手(38)も来日した。

 ブルーのTシャツからのぞくぶっとい二の腕と、厚い胸板。体格もすごいランサムだが、運動能力の高さは、その体つきからは想像できない驚異のバネが証明していた。09年にYouTubeに公開し、30万回以上の再生回数を記録している“60インチジャンプ”の話題になるとニヤリ。「フットボールの選手とトレーニングしてて、(60インチ)ジャンプ出来るか、という話になったんだ。あの映像は60インチだけど、66インチまでいけたよ」と、“上方修正”してみせた。

 66インチ=約167センチ。動画での助走は1、2歩だけに、仰天の跳躍力だ。188センチの身長と単純に足せば、到達点は3メートル半以上。左翼へのライナー弾なら、三塁の守備位置からジャンプして捕球できてしまうかもしれない。アメリカンフットボールの選手だった父から受け継いだ身体能力。今年で38歳になるが「体の状態はすごくいい。32歳の時より、今の方が動けるよ。今はあのジャンプはやってないけど、60インチ、いけるでしょう」と胸を張った。

 メジャーでは8球団を渡り歩いてきた。新庄、松井稼、斎藤隆ら多くの日本人選手とチームメートだったが、印象深く残っているのは、08、09年にヤンキースでチームメートだった松井秀喜氏だ。「選手としてはもちろん、人として素晴らしかった。出場してもしなくてもメディアに対応して、人間的に素晴らしかった」とリスペクト。打撃面の助言を求めたこともあり、「彼は左対左で強かったから、右対右でどうすればいいか聞いたんだ。ベースにちょっと近く立って、逆方向を意識したらいいってアドバイスを受けたよ」と明かした。

 三塁のレギュラーとして期待されるが、内野全ポジションに加え、外野の経験もある。「監督から求められたポジションで頑張るだけ。さすがに投手と捕手は厳しいけどね」と笑ってみせた。守備には定評があるだけに、粗削りな打撃が改善されれば…。トップアスリートが跳び箱の段数を競うテレビ番組にも「チームがいいと言ったら出てみたいね」と、意欲満々。驚異のジャンプ力は本塁打だけでなく、優勝をつかみ取るカギになるかもしれない?【佐竹実】

 ◆コーディ・ランサム

 1976年2月17日生まれ。米アリゾナ州出身。グランドキャニオン大から98年ドラフト9巡目でジャイアンツ入団。01年9月5日(ダイヤモンドバックス戦)に初昇格。その後、アストロズ、ヤンキース、フィリーズ、ダイヤモンドバックス、ブルワーズなどを渡り歩き、13年はパドレスとカブスに所属。内野は全ポジションを守った経験を持つ。メジャー通算11年で383試合に出場し打率2割1分3厘、30本塁打、105打点。188センチ、91キロ。右投げ右打ち。

 ◆今牛若丸

 53年に立命大を中退して阪神入りした吉田義男遊撃手は167センチと小柄ながら、守備範囲の広さと、捕ってから送球までの素早い動きで「今牛若丸」の異名をとった。送球までのスピードに、「吉田は捕ってから投げるのではなく、捕る前に投げるのだ」と評された。守備だけで観客を呼べる選手で、遊撃手のベストナインに9度。54、56年と盗塁王にも2度輝いた。55年にヤンキースが来日した際、日本チームで最も傑出した選手として吉田が選ばれ、ヤンキースから表彰された。