掛布さん、見てください!

 3年目を迎える阪神伊藤隼太外野手(24)が沖縄・宜野座での合同自主トレ初日となった27日、フリー打撃でいきなりの柵越えを放った。51スイングで推定130メートル弾を含む2本の柵越え。沖縄入り前の25日、掛布DCの駆けつけチェックを受けた打棒が早くも本領発揮だ。

 26スイング目だった。それまでと変わらない自然なフォームで振り抜いた打球がライトに上がった。詰まったようにも見えたが、想像以上に伸びた。打球はフェンスを越え、さらに後方にかけられた「歓迎阪神タイガース」の文字まで越えて着弾した。推定130メートル弾。伊藤隼がいきなり進化を見せつけた。

 「無理やり飛ばすというつもりはないけれど、自然にあのような感じになった。いい傾向だと思います」

 明らかに伸びた飛距離。意識しているわけではないが「そうですね」と遠くに打球が飛ぶようになったことを実感した。51スイングで2本の柵越えに、6本のフェンス直撃。安打性も25本と5割近い数字をマークした。

 25日には前日から仕事で富山にいた掛布DCにお願いして兵庫・西宮市の鳴尾浜に来てもらった。「いい意味で力が抜けた感じがする」と最終チェックを終えた掛布DCが話した通りのフォームで柵越えを披露した。

 「だから(これまでの)自主トレの時から120%と言っていたじゃないですか。しっかり振り込んで来たので、いい状態だと思います」

 表情、言動から充実ぶりが伝わる。年明けから慶大の先輩である巨人高橋由と2年連続で合同自主トレを行った。フリー打撃では足の上げ方、振り出す際のバットの位置など細かい部分まで追求。振り込むことでDCお墨付きフォームを自分のものとし、勝負の沖縄にやってきた。

 午後からの自主練習では、誰もいなくなった宜野座ドームで黙々とティー打撃を繰り返した。トスを上げてもらうのではなく、置いたボールを確認しながらスイングを繰り返した。10時の練習開始から5時間半が経過した午後3時30分、グラウンドを出たのは野手で最後だった。

 「2月の実戦でどれだけやれるか楽しみ」と話す師匠・掛布DCは2月中旬に沖縄入りする。福留、大和から外野の定位置を奪えるか。隼太の戦いが始まろうとしている。【松本航】