ソフトバンク摂津正投手(31)が「緊急リリーフ」でピンチを救った。28日、球団は健康やスキンケア商品の大手「キューサイ」(本社・福岡市)とユニホームの左袖スポンサー契約を結んだ。ところが、連絡不備からお披露目会見に今宮健太内野手(22)が間に合わないことが判明。大慌ての球団から緊急要請を受けたエースが代役で晴れ舞台を立派にこなした。

 新スポンサー発表会見まで1時間半というタイミングで“事件”は起きた。柳田悠岐外野手(25)と今宮を同席させる予定だったが、球団広報が今宮に連絡を入れると「今、大分にいますけれど…」というまさかの返事。今宮の実家がある別府から会見場のヤフオクドームまで約150キロの距離。愛車で駆けつけても到底間に合わない。連絡不備が原因でまずい事態に陥った。

 このままでは、めでたい席が台無しになる。球団は福岡で自主トレ中の摂津にわらをもつかむ思いで電話すると「いいですよ」の二つ返事で代打が決まった。会見では左袖についた新ロゴを見ながら「かわいいです。(緑色で)青汁をイメージしていると思うんですが、すごく目立つと思う。青汁パワーで日本一になれるよう頑張ります」と、新スポンサーをしっかりPR。柳田と一緒にポーズをつくって写真に納まった。

 会見には末吉紀雄会長(68)と藤野孝社長(59)とキューサイのトップ2が出席。同社にとってプロ競技のユニホームへロゴを掲出するのは初めて。さらに末吉会長は今宮の個人後援会の後見人でもあり、到着を心待ちにしていた。“欠席”の知らせに不穏な空気が流れかけたが、年俸4億円投手の登場にびっくり。関係者に笑顔が戻って、状況は好転。冷や汗を流したソフトバンクの営業サイドも胸をなで下ろした。まさに摂津さまさまだった。

 入団時は中継ぎで2年連続の70試合登板。ピンチにも顔色を変えずに数々の火消しを果たした右腕が、グラウンド外でも完璧な「緊急リリーフ」をみせた。今回も、もちろん摂津は「めっそうもないです。家でのんびりしていたので」とサラリ。元プロ野球選手で、悪役商会の俳優八名信夫が「まずい!

 もう1杯!」とコメントする同社のテレビCMについても「知っていますよ」と話し、結果的に代打起用にぴったりな人選だったようだ。2年連続15勝のエースがキャンプ直前に球団のピンチを救う大仕事をこなした。【押谷謙爾】