プロ野球の春季キャンプが1日、各地でスタートした。

 キャンプ初日からストッパー候補がノンストップで飛ばした。ソフトバンクの宮崎春季キャンプで、新外国人デニス・サファテ投手(32=前西武)がド迫力のパフォーマンスを演じた。外国人5投手でただ1人ブルペン入り。いきなりエンジン全開で37球を投じ、王貞治球団会長(73)を驚かせた。隣で投げた五十嵐亮太投手(34)との守護神争いの火花が早くもバチバチだ。

 ソフトバンクでも俺が守護神だと、全身で叫んでいるようだった。ウルフ、スタンリッジ、オセゲラといったA組(1軍)の外国人投手が初日ブルペンを回避する中、サファテは名刺代わりとばかりにアクセルを大きく踏んだ。自慢の剛速球がうなりを上げる。受けた加藤領健ブルペン担当は「体感で150キロは超えていた」と証言した。

 サファテ

 結構いい感じ。まだ時間はあるので、これからカーブ、スライダーといった変化球の精度も上げていく。日本に来るときはいつでも投げられる状態でキャンプに入っている。

 通常マイペース調整が多い助っ人にしては、異例とも言える仕上がりの早さだ。キャッチボールの段階から、約60メートルの遠投を平気でこなした。それでも本人は涼しい顔。注目を集めた37球のブルペンを終えると、郭泰源投手コーチから「もう少し抑え気味に」と指示が飛ぶほどだった。

 視察した王会長も頼もしげに見つめた。「ずいぶん力を入れて投げていたね。自分がどういう立場で、何を求められているか分かっているだろう。7、8、9回は大事だからね」。昨年はBクラスに低迷。先発陣の不振に泣いたが、3年ぶり日本一奪回にはリリーフの整備も欠かせない。郭コーチは「抑えは1人で固定したい」とのプランを明かし、その有力候補がサファテと五十嵐。年が近い2人は隣同士でブルペン競演し、争いが初日からヒートアップ。王会長は「五十嵐もいい球を投げていた。お互い刺激になっていいんじゃないか」とにんまりだ。

 サファテは広島、西武を渡り歩いた。キャンプ地はいずれも宮崎だった。同じ宮崎で熱烈な歓迎を受けて感激。「初日でこれだけのファンが来てるなんて。西武や広島にもファンはいたが、ここは規模が違うね」。人気球団ぶりを肌で実感したようだ。

 ブルペンには1クールに2度入り、次回は4日を予定。「今日は納得のいく球が投げられたわけじゃない。他の年は(初日に)もっといい球を投げていた。ここから投げ込んでしっかり上げていく」。昨年の西武では敗戦を招いた翌日、バリカンで頭を丸刈りにするなど“日本流”を知る男。連投もいとわないタフネス右腕が、ストッパー争奪戦のゴングを打ち鳴らした。【大池和幸】

 ◆デニス・サファテ

 1981年4月9日、米ニューヨーク州生まれ。アリゾナ州立大から01年のドラフト9巡目でブルワーズに入団。06年にメジャー初登板し、アストロズ、オリオールズの3球団でメジャー通算5勝4敗。広島に移籍した11年は抑えとして球団の外国人投手新記録となる35セーブを挙げた。12年は主にセットアッパーを務め、13年の西武では両方をこなし、日本通算3年間で12勝9敗54セーブ、21ホールド。193センチ、102キロ。右投げ右打ち。