これぞ掛布マジック!?

 阪神狩野恵輔外野手(31)が、昨季で現役引退した桧山進次郎氏(44=日刊スポーツ評論家)に代わる今季の「代打の神様」候補に浮上した。3日、安芸キャンプのフリー打撃で柵越えを連発。好調のキッカケは、掛布雅之GM付育成&打撃コーディネーター(DC=58)の助言だ。左足のつま先を投手に向けると飛距離アップ。パンチ力を生かし、大勝負する。

 フリー打撃を行う若虎に交じり、狩野が飛ばす弾道は別格だった。力みを感じさせないスイングで軽々と何度も、左翼フェンスを越える。この日も立て続けに柵越えさせるとケージ裏で見守る掛布DCは「素晴らしい!」と声を上ずらせた。このひと言が充実ぶりを物語っている。

 狩野

 ここ何年かで状態はもっともいいですね。3年くらい、春のキャンプをまともにやっていない。いつ、何が起こるか分からない。試合に出られる準備をしてレギュラーを目指さないといけない。打撃では譲れないという気持ちです。

 外野は実力者が名を連ねるが、定位置を奪う気概を捨てていない。その一方で09年5本塁打の長打力を生かせるポジションもある。「代打の神様」に君臨した桧山氏が昨季限りで引退。現時点で後継者はおらず、代打の切り札の有力候補に浮上する。07年4月20日巨人戦のプロ初安打がサヨナラ安打。10年には金本の連続フルイニング出場が途切れた後の4月20日広島戦で代役出場して3ランを放った。切り札に欠かせない勝負強さを証明済みだ。

 このキャンプを転機にする。2月1日から「がに股打法」に挑戦。キッカケは掛布DCの「魔法の言葉」だった。キャンプイン直後、打撃動作で指摘されたのはワンポイントだけ。「左足のつま先を投手に向けろ」だった。これまでは構えてトップを決め、踏み出すまで、つま先がやや捕手側に向いていたという。45度ほど、投手方向につま先を向けるだけで下半身から上体への力の伝達が円滑になった。

 掛布DC

 狩野がいい。非常に、打撃で上体と下半身の割れがある。左足の踏み込みの使い方を試して、本人のなかで、いい感じで手応えがあると思う。少しずつ形として見えてきた。

 新打法の感触も上々で狩野も「(つま先が捕手側だと)どうしても左膝を内側に入れてしまっていた。いまは力感がなくても、振れている感覚がある。この形を覚え込ませないといけない」と意気込む。10年に椎間板ヘルニアを手術し、長年、腰痛に苦しんだ。昨季は育成契約からスタート。支配下登録に復帰したが、1軍に定着できなかった。

 掛布DCは1月にも「この間、代打打率4割を目指そうという話をしたけど、狩野に失礼だったな。ポジションを狙えるだけの力がある」と認めていた。退路を断った男には意地がある。安芸には、こんな頼もしい戦力もスキあらばとチャンスを狙う。【酒井俊作】