異彩を放つ「乗り鉄」が、前人未到の荒行への挑戦を決めた。日本ハム木佐貫洋投手(33)が5日、沖縄本島最北端の辺戸(へど)岬へ自転車で走破する野望を明かした。キャンプ休日のこの日、衝動でテスト走行を敢行。2軍キャンプ地の国頭の宿舎から往復40キロの長距離だけに試運転を行い、約24キロを楽々と乗りこなしたことで、一大決心を固めた。成功への確信を深め、次回休日の10日に「ガチで行きます」を本番に設定。大勝負を打つ。

 沖縄本島の大動脈の国道58号線に、勇ましい姿があった。宿舎で「3時間2000円」でマウンテンバイクをレンタル。午後1時45分、ペダルをこぎ出した。波しぶきが飛ぶ、真っ青な海が広がる海岸線を、ひた走った。高校時代は自宅から学校への片道8キロを3年間、通い続けた。鉄道マニアで有名だが「自転車も好きなんです。沖縄は電車がないですし」と告白。デコボコがある箇所では腰を浮かせて衝撃をやわらげるなど、熟練の技も見せた。

 前夜に一蹴されていたが、実行に移した。辺戸岬への単独走破の夢を、同じく主力で2軍スタートした武田勝に相談。誰もチャレンジしようともしなかった試みで「何言ってんの、お前」と鼻であしらわれた。折れた心を奮い立たせ、この日は下見。辺戸岬まで残り8キロ地点で折り返すに、とどめた。単なる趣味ではなく、疲労回復の有酸素運動も兼ねた一石二鳥の計画でもある。「また、あらためて」。サムアップ・ポーズで、すがすがしく去った。4日後。運命の本番に臨む。【高山通史】