ヤクルトの新外国人クリス・ナーブソン投手(32=ブルワーズ)が“バレンティン斬り”で沸かせた。18日、沖縄・浦添キャンプで今キャンプ3度目のフリー打撃に登板。昨季60本塁打の主砲から鋭いカットボールで空振りを奪うなど、キレのある変化球で実力をアピールした。22日の楽天戦(浦添)で、来日後初登板する予定だ。

 昨季60本塁打を放った主砲のバットが、長身左腕の“魔球”にあっさり空を切った。3度目のフリー打撃に登板したナーブソンが、バレンティンと初対戦。「3Aで1度対戦した。彼は試合では恐ろしい打者だけど、今日はお互いが練習相手だから」と言いつつ、球種を教えずに変化球も交えて20球、実戦さながらのガチンコ勝負を挑んで安打性はゼロに抑えた。メジャー通算26勝の実力を示した。

 特に目を引いたのがカットボールだった。今キャンプでほとんど空振りを見せていないバレンティンが、内角カットボールをとらえられなかった。「カットボールが印象に残った。直球も伸びてきたよ」と脱帽。伊藤投手コーチも「今まで見たことがない軌道だった。打者の手前でキュッと曲がってくる。バレンティンも見えてなかったんじゃないかな」と絶賛した。

 高い技術の根底には真面目さがある。来日前に前楽天マギー(マーリンズ)らから日本野球の情報を収集。キャンプでも、打撃ケージ後方から打撃練習を観察し、「日本人がどうやって打者に対応するのか。打者はどう反応するのか」を研究している。調整は例年より約2、3週間早く、文化や習慣も異なる日々にも「ストレスは米国でもあるからね。問題ないよ」と笑顔を見せた。

 バレ斬りを目の当たりにした小川監督は「すごく制球がよかった。実戦が楽しみ」と22日楽天戦が待ち遠しい様子だった。「チームの勝利に結びつかないと意味がない。日本で王者になりたい」。昨季最下位からの逆襲を狙うヤクルトの開幕ローテーション争いに、ナーブソンが堂々参戦する。【浜本卓也】

 ◆クリス・ナーブソン

 1981年12月20日、米コロラド州生まれの32歳。高校卒業後、00年ドラフト2巡目でカージナルス入団。06年にメジャー初昇格。ブルワーズ移籍2年目の10年から2年連続2ケタ勝利をマークしたが、12年4月に左肩を手術。ほぼ1年間離脱し、13年10月にFAとなった。メジャー通算97試合で26勝18敗、防御率4・65。191センチ、93キロ。左投げ左打ち。