ついに「オレ流視察」が実現した。中日落合博満GM(60)が19日、静岡・沼津市の愛鷹(あしたか)球場で行われている東京6大学リーグ明大のキャンプを電撃視察した。昨秋のGM就任以来、アマチュア野球の現場に現れたのは初。明大にはドラフト1位候補左腕、山崎福也投手(3年=日大三)が在籍し、フリー打撃登板など、約6時間半の滞在でネット裏から熱視線を送り続けた。

 午前10時25分、西武ドームを思わせる長い階段を下り、落合GMが愛鷹球場に現れた。関係者とあいさつを交わすと、球場全体を見渡せるネット裏の部屋に直行。数日前までは中日がキャンプを行う沖縄・北谷にいたが、この日はポカポカ陽気の沼津に、スーツ姿で登場した。

 「アマチュア野球は(社会人時代に在籍した)東芝府中時代以来三十数年ぶり。楽しみにしてきた。私は見るのが仕事ですから」。

 1979年のプロ入り以降、アマ野球の現場を訪れたことはなかった。昨秋のGM就任以来、自ら視察するのも、もちろん初めて。GMにとって、ドラフト候補選手の力を見極めるのは、大きな仕事の1つで、その第1弾に明大を選択。スカウト陣の同行はなく、チーム広報と2人での「オレ流視察」だった。

 メーンイベントは午後2時半に始まった山崎のフリー打撃登板だ。バッターボックスから、さらに10メートルほど後ろのネット裏から、1球1球食い入るように見つめた。身ぶり手ぶりを交えて、関係者と意見を交わす。昨年は春秋のリーグ戦で年間11勝を挙げ、今ドラフト目玉左腕の山崎は「びっくりしました。実際に見るとオーラがありました」と興奮気味に振り返った。

 昨年4位に終わった中日にとって、投手陣の立て直しは急務になる。先発ローテーション入りが決定的な左腕は大野だけで、山本昌は49歳のシーズンを迎える。近未来のチームを支える投手の補強は、最重要ポイントの1つで、スカウト陣だけではなく、落合GM自らが直接見て判断していくことになりそうだ。

 視察初日は、練習を最後まで見届けて、午後5時2分にタクシーに乗って球場を後にした。「オレ流視察」の次のターゲットは、どの選手か。アマ球界にとっても、刺激的な日々になりそうだ。【前田祐輔】<落合GMオレ流アラカルト>

 ◆大減俸

 契約更改で選手年俸の減額制限超えや制限いっぱいのダウン提示を連発。井端を放出するなど、日本人選手の総年俸を約8億円削減した。

 ◆視察

 「宝の山」と称する12球団合同トライアウトを2度視察し、工藤(ロッテ)を獲得。巨人からFAの小笠原は直接声をかけて獲得した。

 ◆背番号シャッフル

 平田を背番号40から6に変更するなど大量13人を大シャッフル。本拠地用ユニホームも初日本一の54年をモデルに変更。

 ◆指導

 ポストシーズン中の1月7日に選手を指導。野球協約で禁じられているため、西山球団代表が「偶発的なこと。恒常的にやるつもりはない」とセ・リーグ理事会で事情を説明。