掛布チルドレンが壮絶バトルだ!

 19日、昨季日本一の星野楽天を宜野座に迎えた練習試合は18安打15得点で大勝。主役を張ったのは昨秋から掛布DCの指導を受ける森田一成内野手(24)と伊藤隼太外野手(24)だ。5回は連続アーチを架けるなど、まさに意地の張り合い。星野さん時代から、いやそのもっと前から叫ばれていた「若手の伸び悩み」を一掃しそうな打ちっぷりだ。

 俺もいる!

 俺を見ろ!

 心の叫びが聞こえてきそうな迫力だ。同点の5回。若虎打線が昨季の覇者に襲いかかる。森田が打てば隼太も打つ。意地がぶつかり合い、激しく火花が散った。

 攻め手を緩めない。森田が投手を強襲して右前に抜ける2点適時打から一気に5連打。面白いように得点を刻み、ハイライトはその後だ。打者2巡目。2死二、三塁で再び森田が打席へ。永井の初球だ。外寄り直球を思い切りしばき上げると、瞬く間に左中間へオーバーフェンス。「一番いいアピールの本塁打を打てて今日はいいかなと」と表情をほころばせた。

 この弾道に燃えたのが、ネクストで準備していた伊藤隼だ。甘いカーブを逃さない。強振すると力強い弾道で右中間芝生席に運んだ。「同じ年で同じ左打者で同じように掛布さんに気にかけてもらっている。気負ったりする気持ちはなかったですけどね」。ライバルの存在が発奮材料になる。この回は11安打12得点の猛攻撃を引っ張った。

 安芸にいる掛布雅之GM付育成&打撃コーディネーター(DC=58)の教えが生きている。森田は本塁打を放つ前、あるひと言が心に刺さっていた。3回の右前打の後、ベンチで和田監督に声を掛けられた。「(打球を)上げてほしかったな」。そのフレーズこそ森田が追求するものだ。昨秋キャンプで掛布DCから「打撃練習でボールに土をつけるな!」と教わっていた。ミスタータイガースの心構えを継承し、アーチに結びつけた。3安打5打点と大暴れ。今季実戦も好調で、おぼろげながら開幕1軍も見えてきた。

 一方の伊藤隼は試合前まで窮地に立っていた。実戦3試合で9打数1安打。17日には気持ちを察する掛布DCから電話がかかってきた。「これまでやったことを信じろ。俺はお前を信じる。お前はお前を信じろ!」。結果が出ない疑心暗鬼を救う言葉だった。

 隼太

 やっと自分らしいスイングを打席のなかでできた。去年のオフもしっかり振り込んだ自負がある。ホッとした気持ちですね。

 西田、緒方ら若手が連鎖反応的に活躍し、チームのムードも急上昇だ。宜野座は開幕1軍を争うハングリー精神がムンムン。「サクラサク」の朗報が届くのはまだ先だが、和田阪神に無数の大きな蕾が花開こうとしている。【酒井俊作】

 ▼阪神が18安打15得点の圧勝。5回には12得点した。球団記録は69年5月27日産経戦(神宮)の6回に打者18人攻撃で挙げた13得点。これは当時の日本新記録だった。公式戦で1イニング12得点した試合はなく、11得点は03年5月31日巨人戦(東京ドーム)9回が最後。また阪神は昨年2月16日の中日との練習試合(北谷)で15-11、同23日の日本ハムとのオープン戦(名護)で15-6と15得点した。公式戦での1試合15得点以上は10年10月5日ヤクルト戦(神宮)の17点が最後。