アジャがまた打った。新人のロッテ井上晴哉内野手(24=日本生命)が20日、日本ハムとの練習試合に「5番一塁」で先発出場し、右中間へのソロ本塁打を放った。実戦では早くも3本塁打目。日本ハム増井浩俊投手(28)の直球を弾丸ライナーではじき返す強烈な一撃で、周囲の度肝を抜いた。

 グシャっという音がしたかと思ったら、打球は右中間スタンドに突き刺さっていた。ロッテ井上の放った打球は逆風をものともせず、ライナーで飛んだ。「あそこに打とうと思っていたところに、うまく打てました」。右方向へ打とうという意識が、球界屈指の増井の直球を一振りで完璧にとらえさせた。

 1月に打球速度を測った際には162キロを記録した。平均値は140キロから145キロで、チームメートの鈴木大地が昨秋に記録した数字が143キロ。いかに井上の打球が鋭いかが分かる。「思い切って振ることができた」というこの日の打球は、増井の142キロ直球の反動と相まって、驚異のスピードで飛んだ。

 豪打を支えているのは強靱(きょうじん)な下半身だ。ぷよぷよした上半身とは裏腹に、元横綱若乃花のような太ももとふくらはぎを持つ。太ももが69センチ、ふくらはぎは47センチで、ヤクルト・バレンティンの64センチと43センチをしのぐほど。かつ股割りができるほど柔軟な筋肉が、長距離砲の発射台となっている。

 球界を代表した長距離砲からも、井上は認められた。清原和博氏(日刊スポーツ評論家)は「右にも打てるのがいいね」と高評価。侍ジャパンの小久保裕紀監督も「長距離砲特有の打球の角度を持っている。僕もそうだったけど、打ち損じがフライになる。将来が楽しみだ」と、同じアーチストのにおいを感じ取った。

 もはや話題だけの男ではない。伊東監督は「このままの調子ならば、5番か6番を打たせたい」とシーズンの青写真まで描いた。実戦の通算成績は15打数10安打6打点。本塁打も3本と、文句のつけようがない。今年の新人王候補から、井上の名前が外せなくなってきた。【竹内智信】