<オープン戦:楽天5-2ロッテ>◇5日◇倉敷

 あるぞ、本拠地開幕投手!

 楽天のドラフト1位松井裕樹投手(18=桐光学園)が5日、ロッテ戦に先発。プロ入り2度目の実戦登板は、5回4安打6奪三振で無失点に抑え勝利投手となった。卒業式などで3日間チームを離れていたが、調整面の不安もなく、星野監督ら首脳陣をうならせた。先発2番手の評価を受け、開幕ローテ入りは確実。4月1日のオリックスとの仙台開幕戦で公式戦デビューする可能性も出てきた。

 堂々とした姿は新人離れしていた。4回2死一、三塁。プロ入り後初めて背負ったピンチにも松井裕に動揺はなかった。大きく息を吐くと、ロッテ細谷に外角へ逃げるチェンジアップを2球続け、連続空振り。簡単に追い込むと、1度プレートを外した。「タイミングが外れていたので」と3球勝負と決めた。ゆったりと自分の間合いから投じた3度目のチェンジアップで空振り三振。大股でベンチへ走りだした。

 「ランナーをためたけれど抑えられて良かった。0という結果が欲しかった」と2試合連続無失点に笑みがこぼれた。右打者を9人並べたロッテ打線に対し、変化球をうまく決め球にして予定より1イニング長い5回を投げた。「引き続き結果を出して、開幕ローテーションに入りたい」と意気込んだ。首脳陣の評価もうなぎ上りだ。星野監督は「今日の内容なら則本の次。塩見といい勝負」と絶賛。佐藤投手コーチも「日に日に良くなってきている。松井は2番手じゃないの」と言い切った。

 「先発2番手」の評価となれば、浮上するのは本拠地開幕となる4月1日オリックス戦での先発だ。3月28日の西武とのシーズン開幕戦(西武ドーム)は、実績から則本が最有力。佐藤コーチは「俺は決めている」と名前は明かさなかったが、則本が意中にあることをにおわせた。松井裕は開幕カードの第2戦以降での先発も考えられるが、中6日で回れば、プロ2戦目は3カード目のソフトバンクになる。同コーチは「ソフトバンクのどれがベストオーダーなのか」と警戒。最終決定はもう少し先だが、松井裕に2カード目の頭を任せ、地元ファンの声援も大きい仙台で公式戦デビューさせる可能性は十分ある。

 次は12日のオリックス戦での先発が予想される。本拠地開幕の相手だ。松井裕は「0に抑えられている以上、いいアピールが出来ていると思う。ケガとミスに気をつけていきたい」と、気を緩めることなく次回登板を見据えていた。【島根純】

 ▼松井裕が2月23日巨人戦の2回無失点に続き、オープン戦通算7回連続無失点。新人がオープン戦初登板から7イニング以上無失点は昨年の小川(ヤクルト。12回)則本(楽天。10回)東浜(ソフトバンク。9回)以来だが、高卒新人では88年に野村(大洋)が5試合15回1/3を無失点で終えて以来26年ぶりとなった。

 ◆楽天の開幕ローテ

 則本、美馬、塩見、辛島、ブラックリー、森、松井裕の7人まで絞られた。右腕が則本、美馬の2人だけと左腕王国の様相だが、開幕投手は則本が最有力。ヤンキースに移籍した田中に代わるエース候補だけに、順調にいけば2年連続開幕投手は確実だ。オープン戦で好投している塩見と辛島もローテ入り濃厚。美馬は1軍に昇格したばかりだが、実績から有力。現状では、新加入ブラックリーと2年目森が、最後の1枠を争うことになりそうだ。