<オープン戦:ロッテ3-6ソフトバンク>◇8日◇QVCマリン

 開幕ローテ、ばっさんが来た-。2番手で登板したソフトバンク大場翔太投手(28)が3回無安打無失点とロッテ打線に仕事をさせず。7回は先頭打者に四球も冷静に後続を断った。打者の左右を問わず内角を攻めた姿勢に首脳陣から好評価の声が上がり、帆足、東浜との先発6番手争いでリードをとった。

 闘志で食らいついた。6回2死走者なしでロッテの絶好調ルーキー井上を迎えた。初球。内角直球でバットをへし折った。「ボールを見ていたらバットが先に来た」と大場の左腕に折れたバットが直撃。バランスを崩してマウンドから転げ落ちた。取り損ねた打球は明石が処理してくれた。気持ちが伝わる場面だった。

 「僕は信頼というものが何もない。安心して使ってもらえるよう、少しずつ信頼を勝ち取っていきたい」

 3回を投げ、無安打無失点。最速147キロ。小さく変化するカットボールで芯を外し、フォークボールは低めに沈めた。9アウトのうちゴロは5個。結果も内容も良かった。6回も先頭今江も追い込んで内角直球でバットを折り、投ゴロ。加藤投手コーチは「インサイドにしっかり投げていた。中田にもできてないことが彼にはできていた」と評価。7日DeNA戦で中田は5回無失点と好投した。ただ右打者の内角を攻めきれなかった点と比較し、大場の投球を持ち上げた。

 昨年までは走者を出しては崩れることが多く、1軍に定着できず。7回に先頭打者へストレートの四球。ここが試金石だった。代走伊志嶺を3度のけん制球、平均1・2秒を計測したクイックモーションで一塁にくぎ付け。「四球を出したのは仕方ない。ヒットでも四球でも一緒。その後をしっかり投げようと思った」。セットポジションで最長5秒停止するなど間合いは変幻自在。精神的に動揺するとロジンバッグを何度も握る癖も見られなかった。

 先発ローテは摂津、中田、ウルフ、スタンリッジ、寺原まではほぼ確実。残り1枠をかけて帆足、東浜と争いが続く。「いつも一発勝負と思っている。プレッシャーはあるけれど、その中でいい投球ができると自信につながる」。背番号17から29になった7年目の右腕が先発6番手争いでリードをとった。【押谷謙爾】