<楽天3-2ソフトバンク>◇6日◇コボスタ宮城

 初めての本拠地のお立ち台を、楽天福山博之投手(25)は自分の世界にした。ソフトバンクに勝ち越す決勝打の銀次が先にインタビューを受けていたが、「ブエン・トラバホ!」と、なぜかスペイン語で「よくやった」と声をかけた。自分の番が回ってくると「同級生なんですが神様の田中君(ヤンキース)が、あそこから見ている。恥ずかしい投球はできません」と、ネット裏にある田中の写真が載った広告を見てニヤリ。ファンだけでなく、お立ち台の真ん前まで集まってきていた先輩投手たちの笑いも誘った。

 4年目で、うれしい初勝利だ。これまでは、リードされた展開での登板が多かった。だが、安定感を買われ、この日は同点の8回無死一塁で登場。1死二塁となり、内川、李大浩を迎えたが「頑張って投げよう」と気後れはなかった。直球中心に攻め、連続内野ゴロで勝ち越しを許さない。その裏、味方が勝ち越して白星が転がり込んだ。

 2年でDeNAを戦力外となる苦労を味わったが、超個性的なキャラで愛されている。移籍1年目の昨春キャンプでは、朝の声出しでお笑い芸人小島よしおの物まねをして、星野監督ですら絶句させた。彫りの深い顔は演歌歌手の北島三郎似。楽天でも「サブちゃん」が定着した。だが、外国人選手にはラテン系に映るらしい。ジョーンズとユーキリスにはスペイン語で話し掛けられ、「ブエン・トラバホ!」が流行中だ。さらには、オリックスのヘルマンならぬ「サブマン」と呼ばれるようになった。

 野球には真摯(しんし)。初勝利にも「中継ぎだから興味ないです」。星野監督には「今、うちの中継ぎで一番」と喜ばれた。勝ちパターンの登板が増えそうだ。座右の銘を聞かれると「天気晴朗ナレドモ浪高シ」と答えた。真意は不明だが、日本海海戦でロシアのバルチック艦隊を破ったような勢いが、今のサブちゃんにはある。【古川真弥】