<広島7-3巨人>◇25日◇マツダスタジアム

 広島が巨人との首位攻防第1ラウンドに打ち勝った。1度は逆転されても、すぐに反撃。1点リードの6回には、新外国人ライネル・ロサリオ外野手(25)に1号ソロが飛び出し、巨人を突き放した。新人大瀬良、田中ら新たな戦力がチームに勢いを与える中、カープアカデミー出身の新助っ人も加わった。4連勝のチームは最近9戦で8勝を稼ぎ、カード初戦も8勝1敗。強さが本物になってきた。

 次から次へ新星が現れる。今度はドミニカ共和国産の大砲、25歳のロサリオだ。1点リードの6回、先頭で杉内の外角スライダーにバットをぶつけた。「行ってくれ、という気持ちだったよ!」。ジャンプした長野のグラブをわずかに越え、フェンス上部に跳ねたボールは右翼席に消えた。観客のどよめきは大歓声に変わった。

 ホームインすると、夜空に右指を突き上げた。「父ビクトールが5年前に40歳で亡くなった。天国に、打ったよとサインを送りたかったんだ」。前日24日ヤクルト戦はドラフト3位田中が逆転弾でプロ初本塁打。この日は「第3の野手助っ人」が来日初本塁打。若コイ軍団の勢いが止まらない。

 2ゲーム差で迎えた2位巨人と首位攻防戦。前日広島入りした巨人に対し、広島はこの日午前中に東京から新幹線で約4時間かけて広島入り。疲労を吹き飛ばすべく、練習前の円陣でもロサリオが活躍していた。

 「キョウ、ピッチャー、スギウチ!

 デモ、カンケイナイカラ~、カンケイナイカラ、フワフワ!」

 白浜と上本から入れ知恵され、芸人・月亭方正の「関係ないから~」というギャグをモノマネ。言葉と1発でチームを盛り上げ、チームを4連勝と今季最多の貯金11に導いた。

 昨季終盤、ドミニカアカデミーから練習生として派遣された。長打力を見込まれ、1月31日に支配下登録。外国人枠を巡る争いではキラとエルドレッドの壁に阻まれていたが、背中に死球を受けたキラの代役を任された。1軍初昇格した23日ヤクルト戦で先発し、24日同戦でプロ初安打、そして本拠地デビュー戦はプロ初本塁打。カープの勢いを象徴する流れだ。

 米国フロリダ州の自宅に42歳の妻と5歳の長男、1歳の長女を残す。帽子のつばには実母の座右の銘をスペイン語で略し、「DLT」と書き込む。「頑張っていれば見てくれている」という意味だ。母と愛妻に電話する度、「自分を信じれば、必ず結果は出る」と励まされてきた。お立ち台では「マイネーム

 イズ

 ライネル・ロサリオ!」と声を張り上げた。

 昨季杉内に8打数4安打1本塁打のキラを欠きながら、代役が穴を埋めた。昨季杉内に7打数0安打だった3番丸は同点2ランを放ち、3安打で成長を見せた。野村監督は「選手が頼もしい」と目を細めた。昨季は巨人に8勝14敗2分け。5年連続で負け越し、CSも3戦全敗。そんな負の歴史は、新星たちには関係ない。さあ、今日26日は昨季までの同僚・大竹討ちだ。【佐井陽介】

 ◆ライネル・ロサリオ

 1989年3月29日、ドミニカ共和国生まれ。ペダゴヒコ高から米カージナルス2Aを経て、カープドミニカアカデミーへ。秋季キャンプで長打力を証明し、今年1月31日に支配下選手登録された。異例の長期間となる4年契約を結び、契約金1000万円、年俸1000万円プラス出来高。背番号は69。186センチ、103キロ。右投げ右打ち。

 ◆年上女房助っ人といえば

 ペタジーニ(夫人25歳上)日本7年[本]233[率]・312

 ラミレス(夫人14歳上)日本13年[本]380[率]・301。

 ▼広島が巨人3連戦に先勝。この巨人戦が今季9カード目だが、カード初戦の結果を出すと

 相手中ヤD巨中神Dヤ巨

 勝敗○○○○○●○○○

 これで初戦は8勝1敗となった。広島は3月2勝1敗で、今月は15勝5敗。広島の月間15勝以上は昨年9月(15勝7敗1分け)以来で、4月の15勝は89年(15勝3敗)に次いで2度目。広島の月間勝利記録は94年8月の18勝だが、残り4試合の今月は何勝できるか。