<広島2-1阪神>◇13日◇どらドラパーク米子

 ベテランのひと振りで4時間30分の熱闘に決着をつけた。広島梵英心内野手(33)が阪神7回戦で1-1の延長12回、左翼へ自身今季2度目のサヨナラ本塁打を放った。チームは延長戦に今季5戦全勝で、また4度目のサヨナラ勝ちはいずれもサヨナラ本塁打で決着。今季セ・リーグのサヨナラ本塁打はすべて広島ナインのバットから飛び出しており、ここ一番の勝負強さをみせつけた。

 広島が4時間30分の総力戦をものにし、ガッチリ首位固めした。引き分けムードが漂った12回裏、決めたのは選手会長の梵だった。先頭で阪神二神の真ん中スライダーをミートし、左翼席にサヨナラ弾をたたき込んだ。「結果が出ていなかったので、できることをやろうと思った。塁に出ようと。それが一番だった」。今季3号のうち2本がサヨナラ弾。5打席目まで無安打も3四死球を選び、最後に勝負強さを発揮した。

 この日は9年目で初めて三塁で先発出場した。膝の状態が芳しくなく、試合前の時点で打率2割1分5厘と不振に苦しみ、スタメン出場も5試合ぶり。4年前の10年にも1発を放った米子で、「いい成績じゃないので、できることをしっかりやろう」と、この日も若手に交じって早出練習に参加。打ち込みを行った成果を出した。予想外の好結果に「微妙かな、と思ったが、ベンチが盛り上がっていたので入ったと分かった」とおどけた。

 野村監督は試合後、「座ってもいい?」と珍しく椅子に腰かけて会見。「疲れるね~」と苦笑いした表情に充実感がにじむ。「一番上げてほしい選手が、いいところでいい感じで打ってくれた」。2位巨人に3ゲーム差、3位阪神に4ゲーム差をつけ、いよいよ独走態勢に入る。

 ▼梵が4月4日DeNA戦に次いで今季2本目のサヨナラ本塁打。セ・リーグのサヨナラ本塁打は今季4本目だが、すべて広島の選手が記録。リーグのサヨナラ本塁打1号から4号まで同一球団で独占は1リーグ、セ・リーグ、パ・リーグを通じて初めてのケース。また、広島のシーズン4本のサヨナラ弾は00年以来5度目の球団タイ記録で、延長サヨナラ弾をシーズン4本は球団史上初。