<日本ハム3-4中日>◇21日◇札幌ドーム

 静かに迫っている危機が、あらわになった。日本ハムが開幕から直面している難題が深刻化した。今季の先発ローテーションで軸の1人になる、武田勝投手(35)がまた沈んだ。2点リードの5回。ルナの2ランを含む、一挙3失点。直後に同点となったが、逆転負けへの分岐点になった。栗山監督らベンチはシビアに決断をした。降板させて、6回からは継投策が最善と選択した。

 栗山監督

 目いっぱい、最後まで手を尽くしていく。勝たないといけない。

 不振から脱出のきっかけになるかもしれない個人的な1勝に期待するのではなく、貫く強いポリシーの中での判断だった。

 ベテラン左腕への思いは、大きかった。今季7試合目で、いまだ1勝止まりの停滞は打破できず。11日に2軍へ降格して再調整。万全の態勢を整え、交流戦に突入2試合目で起用したが、復活の兆しは見えなかった。今日22日に再度、出場選手登録の抹消が濃厚。開幕投手に抜てきした吉川も現在、無期限の出直しで2軍調整を余儀なくされている。先発陣から左腕が1人も、いなくなった。

 公式戦残り100試合を切って、吉川と武田勝の2人で計2勝。試合の日程、数に余裕がある交流戦は先発陣は少数精鋭。1年間の1軍定着経験がない5年目の中村、3年目の上沢に、2年目の大谷。加えてルーキー浦野、新外国人メンドーサと在籍1年目コンビの5人は、すべて右腕。バラエティーに富むためにも戦略上で貴重になるサウスポー。しかも経験、実績十分の駒がいない。

 栗山監督は最後まで気丈にかばい続けたが、現実逃避したい本音をチラリと明かした。「それは考えないようにしている」。連勝、連敗は起こりやすい序盤戦の勝負どころ。思案は、まだ続く。【高山通史】