<巨人4ー3日本ハム>◇26日◇東京ドーム

 日本ハムは今季3度目のサヨナラ負けで、再び借金生活へ逆戻りした。3-3で迎えた9回、守護神の増井が巨人中井にサヨナラ打を浴び、対巨人は昨年から4連敗。昨年まで7年連続勝ち越しと、得意の交流戦のはずが、10試合ぶりの借金1となった。

 サバサバと現実を直視していたが、少しほおは紅潮していた。悲痛な幕切れから約1時間後、頭とハートを冷却させた。栗山英樹監督(53)はよどみなく、敗因を1つに絞った。「まぁ…」と呼吸を置いてから「監督が悪いよね」。一時3点ビハインドの劣勢から振り出しにまでは戻したが、サヨナラ負け。「キチンとやれることができていないから、こうなるのか」。未練を口にせず自問自答で隠し抜いた。

 最佳境の勝負どころが明暗を分けた。同点の9回無死一塁。1点を奪う最善策で犠打を選択した。左腕の山口に、左の近藤をそのまま投入。前夜は成功。技術が高く信頼を置いていたが、スリーバント失敗。見込み違いだった。ベンチには飯山、大野の右打者2人が残っていたが「代打バントは難しい」との信念に従った。悔いはないが直後、失意が倍増の局面に見舞われることになった。

 得点圏を作れず、ギャンブルに出た。一塁走者は俊足ではない大引。サインは選手が可能と判断したら盗塁の敢行を許可する「グリーンライト」だった。打者・北の3球目に仕掛け二盗失敗で、一気についえた。その裏に同じ無死一塁からのチャンスで犠打を決めた巨人に、劇的白星を献上した。栗山監督は「(大引の場面は)作戦上のことなので何も言えない」と口をつぐみ、選手を擁護した。

 今カード初戦の25日。巨人の試合前練習中、原監督へ歩み寄った。自軍の選手の前で頭を下げないのがポリシーの1つ。他球団監督には行わないが、巨人戦は慣例を破る。選手としては少年時代から、今は監督として、あこがれの存在。「オレの信念が変わらないかと確認をしている」。野球人としての心の原点回帰をして今カードに臨み、敗れた。今季残り95試合。勝率5割を切った。反攻への教訓を得た2連敗にする。【高山通史】