日本ハムが、DeNAの大物助っ人グリエルに「スーパー丸腰大作戦」で挑むことになった。今日6日から敵地で対戦するが、キューバの至宝の1軍デビュー予定となっている。直近のキューバ・リーグの資料調達のパイプなどがなく、動画や傾向を判別するデータといった分析資料の収集に四苦八苦。担当の岡本スコアラーは「何もない。それでいいんだよ」と苦笑交じりで、お手上げだ。明確な対応策を携えず、注目の一戦を迎えることになった。

 舞台裏で、日本ハムが誇る007の面々は腹をくくった。グリエルが実戦調整した3日からイースタン・リーグ西武戦の2試合に偵察隊を派遣。だがビデオ撮影禁止のため、映像を入手できなかった。バッテリー・ミーティングで選手らの視覚に訴え、イメージを膨らませる術が絶たれた。スコアラー陣で、実戦デビュー戦本塁打を報じたニュース番組の映像は食い入るようにチェックした。ただ一塁側からの映像ばかり。スコアラーの1人は「いいスイングをすることだけ分かった」と不毛に終わった。

 WBCなどでのプレー・シーンが動画サイトにはあり、選手各自の「自習」に期待するのが精いっぱいだ。5日の時点で選手に明確に伝えられるのはカウント3-0から、簡単にストライクを取りにいくと強打してくるという点のみのよう。キューバ人ら一般的な外国人選手の特性だけは、注意喚起を促す。球団関係者は「セ球団と違って、年間2試合しかないから」と開き直った。吉と出るか凶と出るか。未知のスーパー助っ人を白紙の状態で迎撃する。【高山通史】