<阪神1-4オリックス>◇7日◇甲子園

 阪神の2年目緒方凌介外野手(23)がプロ初本塁打、初打点を記録した。5回1死でオリックス東明の140キロをフルスイングし猛然と走り始めた。

 「いい風が吹いていた。いつもは甲子園でなかなかあっちに入らない。まさかいくとは思わなかった」

 二塁を蹴り、大歓声に導かれ打球方向を振り返った。偶然吹いた浜風とは逆の左翼から右翼方向へ流れる風。その後押しも受け、打球は深い右中間でフェンスオーバーした。二塁塁審の腕が回ったのを確認すると、ようやく走るスピードを緩めた。自身も驚きの第1号。実は5時間前にこの1発を予言していた。

 「ガツンと!

 今日も1発いってきます!」。プロ初本塁打は今季2度目だった。1度目は2軍でのもの。5月7日ウエスタン・リーグで同じ東明から右翼へ本塁打を放っていたのだ。その印象は鮮明で、試合前には「いいイメージを頭に置きながら対応したい」と話し、笑顔で「1発宣言」してのベンチ入りだった。体重65キロの小さな体に詰まった高いポテンシャル。甲子園での予言弾により、4万2946人の大観衆にそれを証明した。

 「もうすぐ父の日(15日)ですよね。母の日には初ヒットのボールをプレゼントしたので、初ホームランボールは父にプレゼントしたいです。なので、できれば出てきてほしいです…」。外野で出場機会をぐんぐん増やしている23歳は、記念球の行方を心配した。【松本航】